読書感想:未来から来た花嫁の姫城さんが、また愛の告白をしてとおねだりしてきます。2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:未来から来た花嫁の姫城さんが、また愛の告白をしてとおねだりしてきます。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で未来の花嫁であるトウカの訪問を受け、冬花と結婚できる未来に向かう為努力を始めた我らが主人公、白馬であるが。そも、画面の前の読者の皆様もお察しであろう。未来を知った所でその通りになるとは限らず、寧ろ未来を知ると言うのはその未来にたどり着けないフラグであると。故に、白馬は求められる。本当の意味での王子となる事を。彼女だけの王子様となる事を。

 

 

そして、白馬の知らぬ所でトウカもまた、この時間軸に来たもう一つの目的を果たすために動き出している。そこに絡むのは、冬花にとっては姉であり、大病を患い余命いくばくもない少女、夏美である。

 

「そのつらい道を辿る相手にボクを選んでくれた。それだけで十分」

 

ここで勘違いしないで欲しい。トウカの目的は彼女の生存、ではない。寧ろそんな事をしたら確実に未来は変化してしまう。そして未来の技術を以てしても、夏美を救うことは出来ぬ。残り少ない余命を心残りを無くす為に冬花は白馬を見せかけの恋人に選び、白馬もまた気持ちを押し殺しその嘘に乗り。仮初の恋人ととして、二人はデートに出かけていく。

 

春音の手助けをしてクレーンゲームに挑んんで、冬花に嫉妬されたり。実はとんでもないメシマズ族であった冬花の料理に苦しめられたり。恋人ではないけれど恋人としての思い出を重ねる中。トウカの帰還へのタイムリミット、そして夏美の命の時間も少しずつ終わりへと向かっていく。

 

「やっぱり、王寺白馬を好きになってよかった」

 

夏美の最後の心残りを解決し、未来を書き換えるかもしれないという謝罪と未来への期待を白馬に残し、未来へと帰る冬花。程なくして、夏美の死、という変えようのない出来事は起きてしまう。悲しみに暮れる姫城家、何も出来ない自分。何が出来るのか、と思い悩んで。

 

「・・・・・・自分のすべきことがようやく理解できた」

 

・・・知った事か、思い悩んでいる暇はあるか。自分は何を託された、何を願った。それはもう分かっているだろう。ならば立ち止まっている暇はない。今、冬花の悲しみの呪いを解けるのは誰か。それ即ち、王寺白馬、自分しかいないのだ。

 

王子にはやはり、白い馬が相応しい。ふさぎ込む冬花を迎えに行き、彼女を外へと連れ出して。きちんとお別れをした先で。トウカが実行していた、まるで手品のような本当の狙いは明かされる。

 

過去は変えられない、けれど少しだけ。存在しない生きた証を生み出すくらいはしても良いだろう? それはトウカが生み出した奇跡。夫のように産んで見せた幸せ。

 

そこへ辿り着く彼等の路、それは始まったばかり。けれどきっと。お互いがかけがえのない相手になった今ならば。きっと心配せずとも大丈夫だろう。

 

一つの一世一代のショーを魅せられる、心に良い感動が吹き込む今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

未来から来た花嫁の姫城さんが、また愛の告白をしてとおねだりしてきます。2 (MF文庫J) | ニャンコの穴, ミュシャ |本 | 通販 | Amazon