前巻感想はこちら↓
無自覚ヒロインに天然ヒロインを絡ませるとどうなるのか。答えは戦争、ぷち修羅場である。それはいつの時代も変わらぬ、ラブコメの真理であるのかもしれない。
フィフだけではなく、崎田姉妹も文人の家で暮らす事となり。女子三人集まれば何とやらと言わんばかりに、いきなり賑やかさを増していく彼の家。
「貴様らだってブラなしのくせにっ!」
「パンツ穿いてないよりはましでしょ」
そこで繰り広げられるのは、賑やかで姦しい恋のさや当てと言わんばかりの大騒ぎ。ラブコメのラブの部分は、この姉妹が加わる今巻から本格的に始まると言える。
そして、ラブコメ要員なだけではなく、純粋な意味での人手も加わり対応力が上がったフィフ陣営。彼女達は再び、新たな事件の渦中へと飛び込んでいく。
だがしかし。一巻と二巻と比べて、今巻の事件は多岐に渡り、そしてかなり広範囲で巻き起こる事件となる。それこそがフィフ達の陣営の人手が増えたからこそ進行上出来る話であり、敵の陣営が本格的に動き出したという事実を示している。
人として行ってはいけない事を平然と為し、止まらなくなる。謎の行動に駆られる者達が大量発生するという奇妙な事件。
そこに込められた意味、それは落丁。出版用語の一つでしかない筈のその単語は、この作品では洒落にならぬ事態の鍵となる単語である。
文人の通う高校の生徒会からヒントを得て、再び巻き込まれた友達を救う為に。
彼等を待ち受けていたのは人間を本へと変え、肉体を抜け殻という滓として残すという悪魔の発明。活版印刷の大発明と言える機械と、それを創り出した悪魔が如き〈禁書〉。
「肩を貸せ、フミヒト。そなたの言う通りにしてやる」
繰り返された事件への対処の中、磨かれた信頼で敵へと迫る文人とフィフ。
だが、トドメを繰り出さんとしたその手は阻まれる。誰にか。それは文人とフィフと同じ、マイスターと戦闘司書であると名乗る謎の二人組。
事件は解決した筈なのに。まだまだ敵は数多いと言わんばかりに、更なる強者達が道をふさぎ。そして文人の友へと、彼等の正体は遂に露見してしまう。
敵が大きな作戦を動かそうとする中、果たしてこの作品は何処へと進んでいくのか。
ここから更に動いていくであろうこの作品、どうか画面の前の読者の皆様も楽しんでほしい次第である。