突然ではあるが画面の前の読者の皆様は、地獄と聞くとどんな地獄を連想するだろうか。ゲゲゲの鬼太郎のような閻魔大王や補佐官がいる地獄だろうか。鬼灯の冷徹のような何だかんだで楽しい、堕ちてみたい地獄だろうか。
だがしかし、この漫画の地獄に救いは無い。
ダンテの神曲を元に創り出されたこの漫画の地獄は真の悪人が墜ちる地獄であるために救いは無い。例えば今騒がれているあおり運転、仮装通貨詐欺といった各個人異なる罪に刑吏達が因果応報の罰を下し、それが永遠に続く。終わりはない、心が壊れて全てを無くし無へと還れるまで。様々な方法で繰り出される刑罰が永遠に続く、全編通してほぼ血塗れの世界が続く。
だけど、地獄に堕ちたのは罪人ばかりじゃない。辛い苛めを受けて自殺という形で逃げ出した者も、疲れ果てて愛する家族を手にかけた者も堕ちてくる。
そんな奴等に地獄は優しい。因果応報なだけではない、形は歪なれど確かな救いを与え、前を向かせるのもまた地獄のお仕事。
そんな血塗れ時々救いのある地獄の日々の中、新人刑吏ちゃん(表紙)が親父ギャグ好きな頼れる先輩や罰を気紛れで追加する頼れる上司と一緒に、罪人達を「へるっ」(擬音)としながらお仕事するこの一冊。新感覚の地獄と因果応報のスッキリさを味わいたい方は是非。
そして最後に、皆様この世の行い気を付けて。