読書感想:貞操逆転世界のたばこ事情 1本目 愛の重さはタールに比例する?

 

 キラキラのキャンバスライフなんて嘘である。という訳でもないが。実際、かつて大学生、もしくは今大学生であると言う読者様は時に大学を舞台にしたラノベで描かれる、キラキラのキャンバスライフを過ごされた、もしくは過ごされていると言う方はおられるだろうか。経験のある読者様もおられるかもしれない。しかしそれと同じかそれ以上に、経験のないと言う方もおられるかもしれない。

 

 

私はどちらかと言えば後者である。花がある訳でもなく花が無い大学生活であった。だが最近のラノベで大学を舞台にすると、花のない、どこか煤けたキャンバスライフを描かれる事が多い、気がするのは何故だろうか。今の時代はそんな方が受けるのだろうか。

 

「はいアウト」

 

この作品における主人公、和もまたそんな煤けたキャンバスライフを過ごしているタイプである。花の都の京都の大学に進学するも、周りに馴染む事は出来ず。周りで行われている新歓に無性にイラついてふらりと参加を続けていればあらゆるサークルから出禁を食らい。結果的にはアニオタ、ロリコンでシスコンな友人が出来て。タバコ片手に麻雀に耽る割とクズ代表な毎日を送っていた。

 

そんなある日、ふと周囲から視線を感じるようになり。疑問を覚えるも追及する事はなく、しかし大学の授業と街の様子から気づく。どうもこの世界、何かがおかしい。いつもとは男女比、逆ではないか、と。

 

「一般的じゃないのかもしれん」

 

それは、自分は貞操逆転世界に来てしまったのではないかという気づき。どうしたものか、と考えてしかし別に自分に困る事もないか、と思い直して。だが自分の巨乳好きという性癖は異常性癖である、と言う事になっていると知って。一先ず落ち込んでしまう事に。

 

「・・・・・・まあ、先輩といれるならどこでもいいんですけど」

 

「もお本当ムリ、リスカしよ・・・・・・」

 

彼がやることは何だろうか。結局いつもと変わらず、パチンコやら煙草に浸る毎日。そこで接近してきたのは、かつての世界では地雷系と言われるファッションに身を包む希(表紙奥)。バイト先の後輩であり気の合う相手、莉生(表紙手前)。この世界では和の隠れオタクであった希は勇気を出して接近しようとするも、のらりくらりな和に躱されて中々迫り切れずに。莉生とは一緒にラーメンも行くしタバコも吸う、そんな気安い関係で。

 

「あー彼女ほしー・・・・・・!」

 

そんな彼女達の想いには気づかずに、しかし時に重さを感じて戦々恐々。だけど彼女が欲しいとぼやいていくのだ。

 

貞操逆転世界でヤニカス、というぶっ飛んだ味のするラブコメであるこの作品。衝撃を受けてみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

貞操逆転世界のたばこ事情 1本目 愛の重さはタールに比例する? (オーバーラップ文庫 そ 05-01) | 園田那乃多, 秋々あき |本 | 通販 | Amazon