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読書感想:シスターと触手2 邪眼の聖女と不適切な魔女 - 読樹庵
さて、前巻、女神がいる筈の地にいなかった女神、その女神の権能にも似た力を見せた触手、大聖女に見出されるシオン、という様々なイベントが起きた訳であるが。今巻は最終巻、決戦となる巻であり。一連の事実、それが明らかにされる巻である。
「早く女神を作り直して、俺の恩寵を戻せ」
「すぐに楽にしてやるからな」
信仰の中心地、大聖女の教会にて大司教であるマイエルを訪ねた、大勇者ディーンを名乗る老人は狂気を見せ。シオンとの戦いでダメージを負ったエルヴィスは、急激にファクターAへの依存が進み始めていく。
「でも殺されるってことはないと思う」
そんなことは露知らず、今日も邪教の一員として、少し離れた地での盗賊討伐依頼に向かうシオン。だがそれこそは罠。主要戦力の不在を突き、根城である教会は炎に包まれて。シンディとクレアが死亡、マリエッタが大怪我を負い。更にソフィアが浚われてしまう。
無論、助け出す為に行く。遺された戦力は少なくとも。しかしそも、手掛かりすらも何もなく。 そも、不可侵の約定を結んだ筈なのに正教会側から破ってきた、という訳の分からない状況。ウルスラ曰く、ソフィアは大聖女のルシアの双子の姉なので殺されている、とは考えにくいとの事。カリーナ王女にも協力してもらい、下手人の騎士団を探し出して。騎士団長から聞き出したのは大聖女の教会、普通では立ち入れぬ場所にある祝福の塔、という場所に捕まっている、という事。
「答えが知りたい」
だがそれは諦める理由にはならず。半ば強引にでも救出を決意、世界の真実を知りたいドナと付き従うイヴリルもついてきて向かう、だがそれは敵の予想通り。上手く分断され、シオンだけがソフィアの元へ。
「それは文明が崩壊するということ」
何とかたどり着く、そこに現れたのはルシア。彼女が明かす、目的。勇者たちに与えられた恩寵を全て取り戻し、女神として新生するという事。このままではいつか恩寵は無くなり文明の崩壊が訪れる。だけど、それでいいとソフィアは言う。それでは駄目だ、とルシアは言う。そして、女神の恩寵を一番沢山持っているシオンは当然、ソフィアの元につき。女神の成りかけとなったルシアと、最後の激突へともつれ込む。
「あなたにそんないいものをあげない」
ソフィアが全てを捧げ、触手は今までで最高の働きを見せ。 管を纏うルシアとの激突、その先に。奇怪な神樹のような巨木が生まれ、世界は壊れて。
「行きましょうか」
「はい」
そして壊れ、変わった世界で。それでも生きていく、只人として身を寄せ合って。只の村人として穏やかな暮らしを送っていくのだ。
最終決戦、一気に駆け抜ける今巻。シリーズ読者の皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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