読書感想:クラスのクォーター美少女が義妹になった。知らないうちに口説いてた。

 

 ハーフと言えば半分、クォーターと言えば四分の一、であるが。人種と言うか血筋的な話として、ハーフ、クォーター、どちらに皆様は特別感を感じるであろうか。ラノベにおいては暫し、ハーフだったりなヒロインは登場したりする訳であるが。この作品のヒロイン、クロエ(表紙)のようにクォーター、なヒロインは中々見ない気もするが。

 

 

ではこの作品はそんな、クロエという義妹とのどんなラブコメになるのだろうか。その答えは帯にも書いてる通り、無自覚攻略ラブコメ。どこぞのゲームのキャラの様に、ヒロイン特攻と言わんばかりに心にクリティカルをぶち込んでいくのである。

 

目つきが悪くがっしりした体格のせいで勘違いされがちだが、根っこは普通の常識人、雅紀。ある日、彼は父親の再婚で義理の母親、そして義理の妹が出来ることになり。その義妹こそがクロエ、校内で有名ではあるも告白の数々を切り捨ててきた少女。

 

「ほんと、こんなに美味しい料理なら毎日でも食べたいな」

 

が、しかし。雅紀が不器用にも距離を縮めようと、クロエに繰り出したのはある意味殺し文句的な、よく考えるとどう見てもプロポーズにでも相当しそうな言葉の数々。その邪気も他意もない言葉の数々に、クロエの心は散々に撃ち抜かれてしまい。

 

「そういうところですよ。雅紀君」

 

だが改めて相互理解しようと聞いてみれば、雅紀にそんな意図はなく。ある意味の天然の鈍感さに、クロエは呆れるやらもやもやするやら。一先ずは兄妹として、少し距離感は近く。時々雅紀の鈍感に過ぎる発言に、クロエがツッコミを入れたりしつつ。雅紀の幼なじみで気さくなお嬢様の香澄や、クロエの友人である那由多に心配されたりしつつも。球技大会や雅紀の誕生日、といったイベントを経験していく。

 

「辛いときは傍にいるから」

 

そんな中、クロエの父親の墓参りに同道した事を切っ掛けに。クロエの中、一つの思いが芽生え高まり始めていく。名前の分からず戸惑うばかりだったその気持ち、それこそは恋。

 

「まったく、そういうところですよ。そういうところ」

 

その気持ちに気付いてしまったクロエは、雅紀と何処か壁を作ってしまい。学校ではクロエが、家では雅紀が距離を取る、というあべこべな状況。香澄に尻を叩かれるか如き勢いで叱咤激励された雅紀は一歩踏み出す。だがそれはクロエにとって望む方向ではないものの、勝手に作っていた壁を壊す結果には繋がるのである。

 

ちょっとしたドタバタと、だけど真っ直ぐに少しずつ距離を詰めていくほのぼのとしたラブコメがこそばゆいこの作品。ほんのり甘いラブコメを楽しんでみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: クラスのクォーター美少女が義妹になった。知らないうちに口説いてた。 (ファンタジア文庫) : 浮葉 まゆ, ゆがー: 本