読書感想:謎解き勇者の精霊無双1 ~大図書館で本ばかり読んでいたら世界最強の勇者になりました~

 

 さて、ファンタジーでRPGといえば様々な作品、ゲームなどが思い浮かぶわけであるが、ファンタジーでRPG、特にダンジョン探索ものだったりすると、ダンジョン内で謎解き要素がある事もあるであろう。例えば何かを動かしたり、キーアイテムを求めたり。そうして頭を悩ませて謎を解いて手に入る重要なアイテムを使って、ボスを攻略したりダンジョンを攻略したり。そんな頭を使うゲームが好き、という方もおられるだろう。

 

 

と言う訳でこの作品では、謎解きが重要となる。謎解きこそが主人公を強くする鍵であり。主人公にしか出来ぬ事を為す道を進む、そんなゲーム的な謎ときの中に王道ファンタジーの面白さがある物語なのだ。

 

尋常ならざる力を持つ「秘宝」。これらを含む超次元的なアイテムこと「遺物」が全土の旧時代の遺跡、ダンジョンに眠っており。それを求め冒険する者を「冒険者」と呼ぶ大陸。冒険者は数々の「技能」を以てダンジョンに挑むも、ダンジョン内で特に使う事のない「知識」の系統だけは「無能」と蔑まれ。主人公であるカルムも、そんな一人。周りの冒険者から「無能」と蔑まれながらも。日々彼は王都の大図書館に通い、物語の世界に浸りつつも技能を磨いていた。

 

「ひょっとすると、ひょっとするかもしれないでしょ?」

 

『あなたの他に、適任者なんていないんです』

 

 

そんな彼に注目していたのは、司書のスクレ、を偽名とした王女のリシェス。ある日彼は、実は世界に七つしかない特級ダンジョンだった図書館、その裏に入り込んで。次々と謎を解く先で出会ったのは、かつて勇者が契約していた「祓魔」の精霊、メイユール(表紙)。おとぎ話の存在である彼女は、これも伝説の存在である魔王が人間を器として転生しており、いずれ世界は魔王に支配されてしまうと危機を伝え。その器こそが、かつて消えた幼なじみ、フィーユであると知ったカルムは、彼女を助ける為にメイユールと契約を交わす。

 

さて、では「祓魔」の精霊と契約し、どう戦うと言うのか。それは彼にしか出来ぬ事。そも、冒険者が攻略しているのは表、一面に過ぎず。そして裏、そこには精霊が待っており攻略すれば精霊と契約できる。その精霊と契約し、その力を借りる事で強くなる。

 

まずはリシェスと従者であるダフネに見守られながら、王城地下の裏ダンジョンで精霊と契約し、次に英雄の血を引くもとある事情から周囲に拒まれている少女、クロシェットに声をかけ、家の再興を目指す彼女と一時的に手を組み、新たな裏ダンジョンへ向かっていく。

 

「あの時、僕は君となら立ち上がれると思ったんだ」

 

そこへ姿を見せるのは、こちらも精霊を狙ってきた魔王、と従者である骨執事。あっという間に危機の中、思い出すのは壊れていた自分。だけどもう違う。ここに救うための力がある、立ち上がる為の勇気がある。 メイユールと一体化、放つ一撃が未来を切り開いていくのだ。

 

間違いなくライアラの血を引いた謎解きがある中、真っ直ぐで魅力的なファンタジーが繰り広げられるこの作品。心熱くなるファンタジーを読みたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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