読書感想:双子まとめて『カノジョ』にしない?4

 

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読書感想:双子まとめて『カノジョ』にしない?3 - 読樹庵

 

 さぁ、白黒つけようぜ。千影と光莉と同時に付き合っている咲人。柚月とのかかわりの中で傷ついた心は、彼女達によってとうに癒されている。しかし、彼とは対照的に柚月の心の中にある、まだ蟠る思い。そこに決着をつけ、過去を乗り越えるのが今巻なのだ。

 

 

「やるからには勝たないと意味がないんです!」

 

咲人達の通う有栖山学院と、柚月の通う結城学園の合同体育祭が迫り、一年の体育祭実行委員として立候補した千影はやる気に燃え、ほどほどに楽しもうとする咲人と光莉はちょっと引いたり。実行委員として頑張る彼女の裏、新聞部として活動したりする中で。振り返るのは柚月との思い出。果たして自分に何かあったのか、と振り返るも答えは出なくて。

 

「これは勝負よ! 私とあんたの!」

 

そんな中でも光莉と千影、それぞれといちゃつく時間も恋人同士としては大切。だがそれが波乱を招く呼び水。千影の友達であり、彼女が咲人と付き合っていると思っている柚月は、当然光莉との関係は分からなくて。咲人に因縁をつけるかの如く絡み、一方的に勝負を吹っ掛けてくる。

 

「ただ、お前もいつまでもそんな半端な立ち位置にいんじゃねぇ」

 

それは、受ける必要がない、といえばないもの。だが、一度は本気でぶつかり合ってみればいいと橘先生にも諭され、事情を知る松風にも、受けてやってくれと頼まれて。決意したのは、本気になる事。まずはクラスを巻き込む為、級友であり昔はリーダー、今はダウナーな茜に協力を仰ぎ。何とか意気を盛り上げつつ、迎えるのは本番。

 

「今じゃない? 尖れるのって」

 

進む勝負の中、不意に訪れたのは自身の手で決着をつける機会。今までなら出る杭にはならなかった、後ろに控えていただろう。だけどごちゃごちゃ悩むのは、今やるべき事ではない。やるべきは何をしたいか、それのみ。 打たれないくらいに出て、突き立てるかの如く尖る為に、自分から立候補し、最後の決着をつけて。

 

「友達として俺のそばにいてくれる?」

 

その先にやっと来るのは、仲直りの時。知っていた思いをすり合わせて、もう恋人にはなれないけれど。それでも一緒に居る為の関係に。

 

「今度私とデートして?」

 

(・・・・・・もう一度会って、しっかり話すべきね)

 

だが、次なる嵐の芽はすぐ側に。茜から、協力した引き換えに突如申し込まれたデート。古いアルバムを前に何かを思う、双子の母、薫子。果たして何が起きようとしているのか。

 

一つの決着、そして次の展開に向かう今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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