読書感想:まきなさん、遊びましょう2

 

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読書感想:まきなさん、遊びましょう1 - 読樹庵

 

 

 さて、前巻で「まきなさん」こと希那子に魅入られ彼女を呼び出す役、相棒となった諒介であるが。前巻でちらりと垣間見えた、希那子の過去や怪異の裏で糸を引くもの、といった謎は今巻では一休みである。今巻では学校廻り、ではなく学校から離れた場所で一つの謎を追う、バトル多めな巻であり。怪異との戦い、その最前線に居つくことになってしまった諒介の覚悟を問うていく巻である。

 

 

 

夏休み五日目、前巻で諒介と繋がりを得た警察の人間、平塚より持ち込まれたのは新たな事件の一報。それはこの街、ではなく県外。石川県の温泉郷、そこで起きたのは剣道道場を営む父、耕治とその娘である大学生、瑠璃が道場で襲われ耕治は死亡、瑠璃は重傷。2人とも左腕を失うと言う手口、及び現場に遺された物証から示されるのは土着の怪異、「山姫」の関与。瑠璃の妹でありブラッディメアリー事件の舞台になった高校に通う珊瑚、の願いに応じ、珊瑚の友人であり自身も知り合いである演劇部員たちの合宿に同道する、という形で同行する事に。

 

「無理に東京に置いていかなくてもいいと思うんだけど」

 

しかし問題が一つ。どう足掻いても一日では帰れぬ、その間明日香をどうすべきか。悩んだ末、夏休みの旅行と言う形にして妹もついてくる事に。

 

妹を演劇部員たちにお願いし、早速始める捜査。分家の青年、呈一に挨拶も済ませ、しかし山姫の関与まではほぼ確定するもそれ以上は見いだせず。珊瑚が思い出した裏の山に住んでいる、父親の愛人と思しき外国人、イレアナを訪ねる途中で襲い来たのは山姫。だがその怪異には伝説的には無い筈の左腕があり、更に携えていた武器は非殺傷用。一体どういうことか? その事実を探る余裕もなく、しかし希那子は朧気ながら真実に気付きつつあり。

 

「―――あなたを、殺します」

 

だが事態はもう待ってはくれないとばかりに急いで動き始める。山姫に協力していた人間達に攫われる仲間達、助けるために彼女が保管していた左腕を携え強行、同じく怪異である彼女に山姫は討伐されるも、まだ残っていた悪が牙を剥き。一瞬の虚を突かれた諒介は負傷してしまうが、事態は何とか解決する。

 

「戸川くんは、正義感で頑張っているんですか?」

 

その果てに唯より問いかけられたのは、希那子と共に居る理由。 危険な所に居なくたっていい、きっと引き留められる事もない。なのになぜ頑張るのか。その理由に、今はこれと言う理由を見つけて。また怪異研究会の日々が続くのである。

 

前巻と比べてバトル多め、怪異の世界広がる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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