読書感想:オーク英雄物語6 忖度列伝

 

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読書感想:オーク英雄物語5 忖度列伝 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品もついに六巻目。様々な種族の国を巡り嫁を探すはずが、いつの間にか残り燻る火種を目撃する事になり、悪魔の王の復活を目指す者達との激突に巻き込まれている我らがオーク英雄、バッシュであるが。画面の前の読者の皆様、こうは思われた事はないだろうか。 そろそろ、彼のプロポーズ成功のシーンが見たい、と。実質成功しているようなもの、しかし目に見える成果ではない。だからこそそろそろ目に見える成果が欲しい、と。

 

 

そんな画面の前の読者の皆様、安心して欲しい。今巻ではその辺りにも動きがあり。バッシュの花嫁探し珍道中も本格的にフラグが収束し始める巻なのだ。

 

「いやー、何にもない! その上、めっちゃ寒いっすねぇ!」

 

前巻、オーガの兄妹との旅路でサキュバスの国へ寄り道する事となり。元の目的を果たすためにデーモンの国へ。 デーモンの国は何処にあるのか。それは渓谷と山に囲まれたほぼ一年中雪の積もる雪原。守りに固く、戦略的にも重要ではないので意外と生き延びることが出来て。多少の外交の為、許可を得た上位種のみが条件付きで出入りでき、他のデーモンはこの雪原から出れぬ、というのが今の現状。

 

「儂はゆるそう。生きていたならな」

 

一先ずデーモンたちの住処である要塞を探す中、出会ったのはドラゴンに襲われるデーモンたち。今、デーモンの国にはドラゴンが住み着いており。あまりにも強大な敵故に勝てる訳もなく、種族の数を減らし。 デーモン王、シーケンスに書状を渡し、娘を紹介して欲しいと言えば、唯一自分の手元に居る娘、アスモナディアはドラゴン討伐に向かっていると言い。 助け出せたら嫁にしてもいい、という言質を貰い。バッシュはドラゴン討伐に挑む事に。

 

「たすけて。ころさないで」

 

ドラゴンの巣穴、初手からブレスを食らって大やけどのダメージ。それでも注意深く冷静に闘い、ドラゴンを追い詰め。だがそこで予想外の事、バッシュの知らぬ所で想定外の事態が起きる。ドラゴンが秘術により「ニュート」(表紙右下)と呼ばれる人間形態になり。バッシュがニュートをアスモナディアと誤認してしまったのだ。

 

「わかった。わたし、お前の番に、なる」

 

バッシュの語る今までの戦いのお話にニュートは惹かれ、初めてバッシュのプロポーズは成功し。しかしニュートは名誉を守ると言い残し何処かへ去っていき。一人残されたバッシュは改めてヒューマンを攻略すべく、飛び地へ向かう事に。

 

「ならば、私がかの英雄を娶り、生涯を懸けて礼を尽くして参りましょう」

 

だがバッシュは気づいていない。最初に自分が助けていたのはアスモナディアで、彼女がバッシュを追って動き出した事、バッシュの未来の妻たちに接触し纏め始めようとしている事を。 敵組織も本格的に動き出し、ドラゴンが意外な場所に居ついてしまったという事を。

 

彼女の参戦で物語が大きく動き出す今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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