読書感想:デスゲームに巻き込まれた山本さん、気ままにゲームバランスを崩壊させる

 

 さて。ソシャゲや据え置き機器のゲームに限らず、どんなゲームにも運営、というものは存在しているものであり例えばゲーム内で不具合が起きた時の対応の速さで非難されたり、称賛されたりすることもある訳だが。例えば某SAOのようなデスゲームにおいても、運営は存在している訳である。上記のゲームは、やはり人の命がかかっているからか、完璧な運営、という体制が敷かれていた訳であるが。デスゲームもの、には例えば某ブレスキのように意外とファンキー、というか割とノリと勢いで突き進むタイプの運営もいたりする訳である。

 

 

現実に居たら、多分いてほしくはないタイプの運営であるこのタイプ。 このタイプが運営にいる場合、何が起きるのか。それは運営が振り回される様を楽しむ、という楽しみ方があると言う事。つまりは割とコメディというかエンタメの方に突き進んでいく。この作品もそんな作品なのである。

 

「やっぱりヤマモトと愉快な仲間たちじゃないか!」

 

いずれそう呼ばれる事になる、ゲーム内の掲示板を幾度も賑わせる事になるプレイヤー、ヤマモト(表紙)。彼女の始まりが描かれるのが今巻なのだ。

 

現実と全く変わらぬ五感が仮想現実空間で再現できるようになって五年が経過した世界。この世界で、今、初回出荷本数十万本の購入が抽選制になるほどに、発売日前から一大ムーヴメントを叩きだしたVRゲーム、通称「LIA」。引きこもりイラストレーターである彼女は運よく抽選に通り購入し。 早速ログインし、最初の種族選択で魔物にもなれる、という事を知り。考えた結果、ディラハンという首なし騎士としてゲームを始める事となる。

 

「まぁ、運動神経は良い方じゃないし、これでいっか」

 

しかし、彼女は未だ気付いていなかった。偶々選んだ、ひとつだけのスキル、「バランス」。これが実は、何故初期からランダムとは言え選べるのか、というチートスキルであることを。

 

「どう考えてもこのユニークスキルはおかしい・・・・・・」

 

ゲーム開始早々判明する、このスキルのヤバい点。それはヤマモトの意思を無視して勝手にバランスを取るという事。しかも、例えば火魔術のスキルを手に入れたら他の魔術のスキルも習得するといった具合に、まぁ明後日の方向に調整してくるスキルだったのだ。

 

『飽きたからやーめたというのはちょっと看過できなくてね』

 

そんなスキルに呆れたり、ドラゴン型アバターのアルファテスター、タツと知り合いになったり。最初の街に辿り着いた彼女の元、やってくるのは運営からの全体メッセージ。それは自分達も命がけで創ったから、プレイヤーたちも命がけで遊んでもらわないと不公平じゃないか、と思ったから、という割とアレな理由でこの世界はデスゲームになった、というもので。

 

しかしヤマモトにとっては降ってわいた長期休暇のようなもの。ならば攻略は誰かに任せ、楽しもうと。戦闘職ではなく生産職を目指し、ギルドに加入する。

 

だが、やはり「バランス」は勝手に悪さをする。それに時にツッコミを入れたりしつつも。ポーションを作ってみたり、鍛冶師に弟子入りして素材を取りに行ったらドラゴンに遭遇したり。剣を盗んだ魔族側のトッププレイヤーをしばいたり。

 

「お前さんはもっと世界を見て回ってこい」

 

何だかんだと好き放題、無軌道に楽しんで。そんな彼女の無自覚な伝説は、まだ始まったばかりなのだ。

 

ドタバタでほんわか、だから気軽に楽しめるこの作品。正にエンタメ、な作品を楽しんでみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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