読書感想:自作3Dモデルを売るためにサキュバスメイドVtuberになってみた

 

 さて、Vtuberになるには何が必要か、というのはそういった題材のラノベで描かれてきていると思うので画面の前の読者の皆様もご存じであると思うが、そも初期費用と言う名の先行投資にも大分お金がかかり、それで人気になれるとは限らない、というのは中々にハイリスクと言えるのかもしれない。そも、今の時代は様々なVの者達が存在しているのでレッドオーシャン、と言えるかもしれない。だけど今でもVの者が生まれている、というのはそれだけ夢があるという事かもしれない。

 

 

この作品における主人公、琥珀もまたVtuberデビューした所である。彼は何故デビューしたのか。それは自作の3Dモデルを売るという目的の為である。

 

家の方針によりお小遣いはそもそも支給されず、だが間違えてバイト禁止の高校に入学してしまったせいでお金を稼ぐことも出来ず。ネット上で出会った「師匠」に師事し自作の3Dモデルの販売を試みるも中々売れず。段々と詰みかけてきた所で、ITの会社に勤める兄から貰ったWEBカメラとマイクから全てが動き出す。師匠に相談した所、Vtuberをやってみればどうだというアドバイスを貰い。彼は自作の3Dモデルを用いサキュバスメイドの「ショコラ」(表紙)としてデビューする事となる。

 

「ほら、どうですか? 私の身体きれいでしょ?」

 

 まずは自己紹介動画から始めてみれば、声から正体を探るリスナー同士の対立により、走り出しとしてはまぁまぁ勢いよく。更にSNSを始めた所、先輩Vであるニャー子にフォローされいきなり雑談配信に出る事となり。気が付けば少しずつ、その名前は売れ始めていく。・・・彼の望んだ方向、とは限らない訳であるが。

 

車の運転動画を出してみたら暴走させてしまい、料理を作る動画を出したら動画の中で炎上してしまい、それがまとめとして切り抜かれる事でリスナーの笑いを招き。ファンアートも書かれるようになり、収益化も果たし。だがCGモデルが売れるよりも何倍もの速度でVtuberとしての収益の方が増えていく。

 

更にはバンドマンである姉、真鈴の提案で歌ってみた動画を投稿する事となり、彼女の指導で歌のレベルを磨き。気が付けばどんどんと、ショコラというキャラクターの人気の方が増えていく。

 

「なんかすごい世界」

 

そして、人気の上昇と共に彼の周りでは縁が繋がり、人の輪が出来ていく。だけどまだ、彼は気づいていない。凄い世界に見えて、実は小さな世界であることに。自分の3Dモデルを買ってくれた誰かや、繋がりを得たVの者、そして師匠が随分と身近にいる事を。

 

色々な者が繋がり動き出す、ほのぼのとした面白さのあるこの作品。賑やかでほのぼのとした面白さを楽しみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

自作3Dモデルを売るためにサキュバスメイドVtuberになってみた (ファミ通文庫) | 下垣, 姫咲 ゆずる |本 | 通販 | Amazon