読書感想:ニチアサ好きな転生メイド、悪を成敗する旅に出る ~気づいたら、ダメ王国を立て直していました~

 

 さて、ニチアサと呼ばれる時間帯にプリキュアから仮面ライダー、更にはスーパー戦隊のコンボをキメられている読者様はどれほどおられるであろうか。仮面ライダースーパー戦隊だけ決めていると言う読者様もおられるだろうか。かつてキメていたという読者様は、皆様の心の中に残り続けている伝説のプリキュア仮面ライダースーパー戦隊と言うとどなたになるであろうか。その答えに正解はないであろうけれど、かの時間帯は大人も子供も熱中できる時間帯であると言うのは間違いない筈である。

 

 

そんな時間帯のアニメには、幾つものお約束が存在している。そのお約束が幾多も詰め込まれたのがこの作品なのである。

 

就活に失敗し一年、メイド喫茶でバイトしながらニチアサの同人誌を書き綴る日々。そんな日々を送っていた女性、ユキ(表紙右)はある日、地震から同人誌の詰まった段ボールに押し潰されると言うコンボで死んでしまう。

 

 だが、その時不思議な事が起こったと言わんばかりに。気が付けば彼女は不思議な世界のメイドさんとなっていた。どうも雷に打たれたらしいメイドの主人格、ライゼから身体を貰う形でユキの第二の人生が始まる。ライゼは異世界の王国の姫、リレイア(表紙左)に仕える暗殺者兼メイドであり、リレイアは王位を継ぐ前に三年間、国を巡る旅に出ていたのである。

 

ライゼの記憶と経験を引き継ぎ、半年ほどかけてリレイアと仲良くなって。彼女のシンパを増やす為、そして国の中に溢れる不正をただす為。二人は街から街へと旅を続ける。

 

有名な騎士訓練学校がある街、その街にあるのは賄賂と癒着。そこにあったのは校長の身体を乗っ取った黒幕の、退屈しのぎの醜悪なゲーム。

 

二つ目の街、温泉が有名な癒しの街。領主御用達の看板を巡る争いの裏に隠れているのは、親と子の確執。

 

三つの目の街、領主お抱えの魔導士が持つ禁呪継承の先を探している街。そこで巻き起こるのは黒幕の悪あがきによる死者たちの大行進。

 

「主の都合に合わせて動いてくれるメイドがいることに感謝しますわ」

 

街から街へ一難去ってまた一難、ぶっちゃけありえないくらいに腐敗した国の中、時に信頼し合う二人の絆で突破して。

 

「こちらは、エトスバイン王国第一王位継承者。リレイア姫だ!」

 

そして、いつもは最後はお約束と言わんばかりに正体を明かしたらば勧善懲悪の合図。王位の名の元に、あっという間に裁きを下して見せるのである。

 

短編的に続くからこそ軽く読める、勧善懲悪とバディものの絆が爽快感を齎してくれるこの作品。心を元気にしたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

ニチアサ好きな転生メイド、悪を成敗する旅に出る ~気づいたら、ダメ王国を立て直していました~ (ファンタジア文庫) | 日の原 裕光, 香川悠作 |本 | 通販 | Amazon