読書感想:隣のクーデレラを甘やかしたら、ウチの合鍵を渡すことになった4

 

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読書感想:隣のクーデレラを甘やかしたら、ウチの合鍵を渡すことになった3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、どんなお話にも始まりがあれば終わりがある。それは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。ではこの作品についてはどうなのか。正直、もう語る事もないかもしれぬ。何故ならタイトル回収は既に終わっているから。だからこそその先の全ては余韻と言う名の後日談である。そして夏臣とユイの二人は、もう迷う事無きド安定な関係性なのである。

 

 

しかしこれもまた確かである。ラブコメ、もといラブロマンスであるこの作品は夏臣とユイ、二人の人生の一瞬を切り取った物に他ならず。だからこそ彼等の人生はこれからも続いていくのである。

 

「えへへ、大好き」

 

恋人同士となり、愛はもっと燃え上がる。もっとお互いを好きになっていく。夏休みも終わり新たな日々が始まる中で、唐突にやってきた夏臣の母親にユイが挨拶する機会があり、更に二人の間の堀は埋まっていく。

 

「だからこの奇跡はきっと、偶然なんかじゃないんだね」

 

更に母親の何気ない一言から判明する、夏臣とユイの間の意外な繋がり。2人がお互いの夢の始まりの扉を開いた、という運命的にも程がある奇跡。その奇跡は新たな思いを繋ぎ、二人は今まで見えていなかった、将来の夢を見つけていく。

 

 二人で並んで同じ方向を見る、それは未来に向けて歩いていくと言う事。約束の聖夜のデート、そしてソフィアのお仕事の手伝いの中で見せる、夢を得て成長したその姿。一度決まったのならもう大丈夫、と言うかのように。二人は並んで共に、未来へと歩いていく。

 

「だからどこにも行くな。傍にいてくれ」

 

そしてその傍らで、共にそれぞれの夢を見つめる恋人未満の二人、慶と湊も。湊のスカウトという切っ掛けを通じ、お互いに思いをぶつけ合い。ようやく心を通わせ結ばれる。

 

全てが収まるべき所に収まり、春夏秋冬をくるりと回して一巡り。夢の為に、新たな未来へと向かう為に。皆それぞれに努力を重ね、頑張っていく。

 

「俺たち、一緒に暮らさないか」

 

そんな彼等の夢が叶わぬ訳はない。夢の階、その始まりに手をかけて、夏臣が告げるのは未来への約束。新たな始まり、変わらぬ未来への導入。

 

「これからもずっと、俺の隣にいてくれ」

 

「これからもずっと、私の隣にいてね」

 

 そして始まりの場所で新たな約束を交わし、始まりの季節へ。二人同じ家で、合鍵を超えた鍵をその手に。永遠に変わらぬ未来を刻み始めていくのだ。

 

とーんとおっこちきる、どんどんと好きになっていく。大人になりたかった夏臣はユイがいたから、少しだけ大人になれた。笑い方を忘れていたユイは、夏臣がいたから世界の美しさを知れた。

 

君がいたから、君がいるから。その思いは恋を超えて愛、それは必然。だからもう大丈夫。これから先どんな艱難辛苦があろうとも、二人で越えていける筈。

 

シリーズファンの皆様、是非最期まで見届けていただきたい。

 

万感の思いと共に満足できるはずである。

 

隣のクーデレラを甘やかしたら、ウチの合鍵を渡すことになった4 (電撃文庫) | 雪仁, かがちさく |本 | 通販 | Amazon