読書感想:新米錬金術師の店舗経営02 商売をしよう

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:新米錬金術師の店舗経営01 お店を手に入れた! - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、ほのぼの日常系錬金術ファンタジーであるこの作品であるが、前巻を読まれた読者の皆様は、魔物相手に大立ち回りをかますサラサの姿を見て、これはお忘れではないだろうか。サラサがちょっと普通とは違うだけで、彼女は「錬金術師」、つまりは「商人」であるという事を。彼女の本職は戦闘ではなく、商売なのである。と言う訳で、勿論商売をしなければ日々の収入は得られない訳である。

 

 

だがしかし、サラサの家兼店舗は前巻、魔物の襲撃でぶっ壊れてしまった訳で。魔物の襲撃から村が立ち直りつつある中、サラサもまた日々の生活を取り戻す為に動き出す。

 

「―――はい、確かに頂きました。お買い上げ、ありがとうございました」

 

家の修理も兼ねて、ロレアの依頼でキッチン周りを整える事になり。その中で村の食堂に魔導コンロを作って納品し。サラサが作った品物は、徐々に村の中に浸透を始めていく。

 

 そう、前巻の襲撃の中での活躍を通じてサラサは本当の意味で村の一員として受け入れられた。そして自給自足が基本のこの村で、数少ない例外であるサラサがお金を独占するわけにもいかず。結果としてサラサを中心に、商売の輪が出来上がっていくのである。

 

冷蔵庫を作る為に、北の洞窟に住まう蝙蝠の牙を求め、アイリスたち採集者達と共に赴き、実地で狩りを披露し。その中で自分の作ったグローブも売り込むことができ。集まり過ぎていく蝙蝠の牙を、冷却する帽子へと加工する中で、帽子の部分を村人たちに作成を依頼し、更には外部へ商人を通じて販売する事で。気が付けば一つの経済の流れ、好ましい循環が生まれていく。

 

だがしかし、そこに迫る面倒事の影が一つ。その名もヨク・バール。多数の錬金術師を借金でハメ支配する悪徳商人が、サラサを舐めて商売対決を挑んでくる。

 

「おやおや。存外、先を見通す力が無かったようですね」

 

「そんなわけで。―――さようなら」

 

 だがしかし、相手が悪かったと言わざるを得ない。それはもう、嫌という程に。何故ならばサラサは商人であっても錬金術師、しかも戦えるタイプと言う敵には回したくないタイプであるから。知人であるレオノーラも巻き込み対決を仕掛け、更には差し向けられた盗賊たちも余裕で殲滅し。圧倒的な実力で完膚なきまでに殲滅し、それで得た大金をサラサは貸付たり陥れられた錬金術師達を助けたりと、更に大きなお金へ変えるべく経済を回していく。

 

本格的に商売が始まり、ほのぼのが更に増していく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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