読書感想:迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様は転校生ヒロインであるシャーロットとその妹であるエマ、そして主人公である明人の今は未だラブコメ未満の関係が始まった、というのはご理解頂けているであろう。ではそんな読者様にまずお聞きしたいが、皆様は作者であられるネコクロ先生の十八番、とでも言うべきものはご存じであろうか?

 

 

答えは簡単、「普通のラブコメではない」、という事である。ネコクロ先生の作品の多くは何処か切ない空気を持っていたり、シリアスな空気があったりする。それは何故であろうか?

 

その答えは簡単。それは主人公、もしくはヒロイン、又は両方が何処か「闇」を抱えているから。そういう影が明人にもある、そしてシャーロットにもある。そういう部分が見えてくる中で二人の関係が変化していくのが今巻なのである。

 

「あぁ、どこか楽しげだ。まるで、中学生時代のようにな」

 

エマの保育園入学に向けて二人で準備を進める中で徐々に距離感を取り戻し、いつも通りエマに構ったり。三人でまるで一つの雪玉のように疑似家族的な絆を創る明人。彼の変化は親友である彰の目から見ても顕著であり。だが同時、明人は未だ自分を何処か罰するかのように自嘲的に過去を仄めかす。

 

そんな中、延期されていたシャーロットの歓迎会が開かれる事になり。クラスの皆で出かけて、ハプニングで明人とシャーロットが密着しかけたり。悲喜こもごもな歓迎異界の中、シャーロットは級友の引っ込み思案な少女、華凜と、垢ぬけた少女の有紗と仲良くなっていく。

 

「私、青柳君のこと大っ嫌いだから」

 

彼の過去の一端を知る有紗は、彼の事は嫌いではないがそのあり方は大っ嫌いと語り、だからこそ彼を幸せにして変えてあげて欲しいと願いをシャーロットに託す。

 

「いい加減過去に囚われず、前を向いてほしいんだよ・・・・・・!」

 

その裏、シャーロットへの思いが届かぬと悟りつつある彰は明人の目を覚まさせようと必死に声をかける。もう過去に囚われるな、一歩踏み出せと必死に粉をかける。

 

 姉妹との触れ合いを通じ、少しずつ剥がれつつある心の鎧。その隙間から見えてくる優しさに溢れた本心。少しずつその心に気付く者が出てくる中、明人は保育園で問題を抱えたエマを助ける為、皆勤賞を捨ててでも、という勢いで奔走する。助けたいと、自分にできる事を必死でしていく。

 

「それでは、私の我が儘を聞いて頂けませんか?」

 

そんな彼にエマが懐くのも必然であろう。父親を亡くしたという過去の一端を語ったシャーロットから見て、まるで父親のように。だからこそシャーロットは一つ、今後の関係性を変える一つの我が儘を願う。

 

けれど彼女は気づいているのだろうか。それは諸刃の剣であると言う事。それがもし依存を招けば、きっと面倒な事態になると言う事を。

 

少しずつラブコメが動き出す中、二人の関係性が変わる仄かな甘みに満ちた今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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