読書感想:三角の距離は限りないゼロ2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:三角の距離は限りないゼロ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の感想から間を置かず今巻の感想を書いているのであまり振り返りも必要もない気がするが、前巻で主人公である四季とヒロインの片割れである秋玻の関係が一歩、前進をしたという事はもうご存じであろう。だがしかし、この作品のタイトルをもう一度見てもらいたい。「三角の距離は限りないゼロ」である。三角である。その名の通り、この作品はトライアングルラブコメなのである。つまりはまだ何も始まっておらず、今巻こそが本当の始まりと言っても差し支えないのである。

 

 

「本当にわたし今、まともな表情できてる?」

 

「―――ちゅーくらいは、しちゃったんじゃない?」

 

前巻で秋玻と両想い、恋人同士となった事で、二人の関係は確かに変わった。秋玻とは付き合いたての恋人同士として、もどかしくも何処か急くような恋路を繰り広げ、春珂とは仲の良い友人として、秋玻との仲を揶揄われながら。

 

「・・・・・・正直、迷ってる」

 

そんな中、二人は春珂と秋玻の事情を知る四季の親友、伊津佳から相談を受ける。なんと彼女は同じく四季の親友である修司から告白されたと言い。四季と秋玻は彼ならば大丈夫ではないか、と背を押す。

 

 告白の後、ぎくしゃくしてしまっている伊津佳と修司を繋ぐため。そして春珂に友達を作る為。四季と秋玻は時にあまり接点のない遠い友達、晃と時子と関わったり。時に伊津佳と修司も含めて六人で出かけたり。そんな中、確かに目的を達成する中で春珂の心の中に思い浮かぶものがある。未だ形もないそれが大きくなり始める中、何かが確かに変わりだす。

 

修司はまっすぐに伊津佳に思いを示せど、何故かそれを伊津佳は断り。それどころか露骨に距離をとり始めて。

 

自分には何かが足りなかったと言う自問自答の中に沈む四季に、秋玻は恋は決して綺麗なだけではないと突き付け、百瀬は事態の解決となり得る一冊の本を指し示す。

 

そこに示されていた思い、そして今まで何となく避けていた晃の秘めた思い。そこに向き合い、もう一度四人で過ごしたいと必死に手を伸ばし。伊津佳の隠されていた内面、そこに視点を向けて、ビターでベターな結論を見出して。

 

「大事だよ、自分の気持ちは」

 

しかしそこから新たな波紋は投げかけられる。伊津佳の一言に背を押され、春珂が動き出す。

 

「―――わたしと付き合って!」

 

 隠すのも取り繕うのももう辞める。例え勝機は僅かでも、一瞬の彼の反応に勝ち筋を見出して。春珂もまた、四季へと真っ直ぐに想いを告げて。ここに本当の意味でトライアングルラブコメが幕を開けるのだ。

 

三角の頂点を潰してしまえば一つの線、このトライアングルはそんな線の上でのラブコメになるのかもしれない。では一体、それはどんなものになるのか。

 

いずれにせよ、これだけは確かだ。

 

show must go on

 

春の嵐が連れてきた本番は、この作品はここからなのだと言う事が。

 

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