読書感想:転生で得たスキルがFランクだったが、前世で助けた動物たちが神獣になって恩返しにきてくれた3 ~もふもふハーレムで成り上がり~

 

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読書感想:転生で得たスキルがFランクだったが、前世で助けた動物たちが神獣になって恩返しにきてくれた ~もふもふハーレムで成り上がり~2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前世で助けた動物達と次々に再会し、更には二人目の魔公すら打ち倒し。更に絶好調、勢いを増していくシルバ達一行であるが、画面の前の読者の皆様はこうは思われたことは無いであろうか。果たしてこの世界に本当に転生者は一人だけなのだろうか、という事を。

 

 

無論、こんな前置きになってしまった事からも大体お察しであろう。実は全くそうではないのである。転生により得たスキルがFランクだったシルバが異端なだけで、テンプレ通りにチートなスキルを得て転生してきた者もいると言うのが明かされるのが今巻なのである。

 

王国騎士団の拠点へ帰る途中、クゥのお願いにより寄り道をし訪れた彼女の故郷、「ハウトの丘」。そこで待っていたのは彼女の育ての親である元冒険者、メアリ(表紙左)。

 

「お待ちしておりました―――ミズガルドに平和をもたらす『救世主』さま」

 

 彼女が持つ「預言」スキルにより既に彼との出会いは予期されていた。だが、その出会いは「ハウトの丘」の者達にとっては歓待できるものではない。それは何故か。何故ならばこの村には既に伝説の聖剣を持つ「勇者」の少女、エリス(表紙右)がいたからである。

 

当然認められる訳もない、お互いに。シルバ達を認めぬ者達により、彼等は真の勇者を決める戦いの舞台に上げられ。だが、当のエリスはさっぱりとした性格で正々堂々を望み、その求めに応じシルバは圧倒的な力を見せつけ次々と持ち掛けられる勝負を制していく。

 

 戦いが進む中、エリスと語らう中で判明していく彼女の秘密とその心。彼女もまた、異世界転生者。だがしかし、自分よりも圧倒的に格上なシルバの活躍に心揺らされ、傷つけられ。自分の力不足を実感する中。村に負のエネルギーが満ちた時、勇者のお付きであった神官の少女、ミリーがもう一人のお付きであるミハエルを生け贄とし、新たな魔公、「ヴリコラカス」が顕現を果たす。

 

さてもうお察しであろう、エリスは言わば「ハリボテ」、作り上げられた虚構の上で踊らされる哀れな道化に過ぎなかったのだ。勇者ではないモブだとしり心折れる彼女の目の前。仲間と共に駆けつけたシルバはヴリコラカスへと立ち向かう。死ぬ可能性もある中、真っ直ぐに前だけを見て。

 

「諦めないと、決められているからですよ」

 

どれだけ傷つこうとも諦めぬ。どん底からだって立ち上がる。それは正に「主人公」の輝き。立ち向かう者だけが手に出来るもの。

 

「『あたしの人生の主人公』は、あたしだ!!」

 

その輝きを目の前に、立ち止まるだけでいいのか。そんな訳はないだろう。分不相応とは分かっている、けれど例え「モブ」だとしても。エリスも立ち上がり、シルバの隣に肩を並べ立ち向かう。

 

「俺たちの、勝ちだ」

 

 誰一人が欠けても勝てぬ、ならば皆が揃っていれば無敵に他ならぬ。正に限界を超えた死線の先、待っているのは新たな力が導く決着。

 

作者であられる虹元喜多朗先生が書きたい事を書かれているからこそ、更に熱さが爆発する今巻。ここまで心を焦がされたのは久しぶりかもしれない、私はそう言いたい。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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