読書感想:陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、もはや実家公認RTAという点においては覇者なのではないかと思われるほどの速さで両家の両親公認となり、家族ぐるみの付き合いに発展した陽信と七海であるが、ここまでにかかった期間を思い返してほしい。僅か三週間である。よく考えてなくても密度がおかしいかもしれぬこの短期間、しかしまだこの二人は本物の恋人とは言えぬ。何故ならば、嘘告白とそれを知っていると言う秘密をお互いに隠しているからである。

 

 

だからこそお互いに負い目がある、特に七海は陽信とその家族について、自分が彼等を騙しているという負い目があり。その負い目が時に心に痛みを与え、切りつけてくるものとなる。

 

 だがしかし。水族館デートに始まりお泊り、更には勉強会デートという様々な触れ合いを通じて絆を深める二人を新たなイベントが待っている。そのイベントとは、温泉旅行。なんと陽信の母親の提案により、両家の家族そろって温泉旅行に出かける事になったのである。

 

「・・・・・・私も、陽信と付き合えて変わったんです」

 

その道の途中、陽信の母親から明かされた彼の過去が七海の心を苛む。自分が変えたと感謝され、明かせぬ心が彼女の心を痛めつける。だが、まだ明かすわけにはいかぬ。共に散歩したり、湯上り姿の七海に陽信が見とれたり。温泉らしいイベントを経験する中、七海の心の中で彼の過去を知りたいと言う思いが膨らんでいく。

 

が、しかし。突然の七海からの願いである名前で呼び捨てにして、という願い。何でもない願いの筈、今の陽信であれば簡単に超えていけるはずの壁。しかし何故か、その一歩を陽信は踏み越えられず。知らぬ間に抱えた過去のトラウマらしきものが陽信を引き留め、涙を流す七海とのすれ違いを招いてしまう。

 

 自分は特に気にもしていないのに、勘違いで彼女の事を自傷させてしまったままでいいのか。彼女を泣かせたままでいいのか。そんな訳が無い。彼女の為に今、こんな壁なんて乗り越えるべき時だから。友達に文字通り気合を入れられ背を押され、陽信は息を切らせて七海の元へと駆け出していく。

 

「・・・・・・ごめんね、七海。色々と誤解させたみたいだ」

 

届けるべきはその言葉、呼ぶべきはその名前。壁を乗り越え、あの日以来出来なかった呼び捨てという行為を敢行し。すれ違いを越えた二人の心は、更に強く結びつく。

 

次巻、いよいよ決戦の時。果たしてどんな景色が待っているのか。

 

その時が今から楽しみである。

 

陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです 3 (HJ文庫) | 結石, かがちさく |本 | 通販 | Amazon