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読書感想:美少女エルフ(大嘘)が救う!弱小領地 ~万有引力だけだと思った?前世の知識で経済無双~ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、この作品の主人公である、アイザック・ニュートンであると言う前世を持つ少女、アイシア。ロリママであるリリステラを愛し、彼女に甘える事を至上命題とする彼女も、弟分であるダリウスの領地を改革する事に励む事で、少しずつマザコンの毒気が抜けてきた、といっても過言ではないかもしれない。では毒気が抜けると何が現れるのか。それ即ち、天才性の反動の変態性である。
「だから、これは仕方ないことなんだよ☆」
前巻の悪役、ダリウスの継母であるディエナを奉仕活動の名目でミニスカメイドとし。更には娘であるサフィも辱めに利用し。続けてアイリスが目を付けたのは、盗賊団の拠点として利用されていたドワーフの邑。復興計画が必要であり、奇しくもその村には「砂糖」という一攫千金を狙えるお宝が存在していた。
だがしかし、辿り着いたドワーフの邑は、未熟な族長である少女、エドゥリカ(表紙左)に率いられ、悪徳商人にぼったくられながらも本当の故郷の奪還を目指す動きがあり、アイシア達は警戒されてしまう。更には奴隷として酷使されていた孤児たちに案内され見つけた砂糖は、そもそも売り物にもならぬ程に精度の低いものだったのである。
ここからどう逆転すべきか。ドワーフの内情は派閥に分かれ揺れる、しかしエドゥリカの派閥ではない者と交渉する道具、通貨が存在しない。
「―――『楽しみ』ってやつを売るのさ」
しかし、勝機はすぐ側、孤児たちが持っていた。隠れて作られていた密造酒、つまりは「酒」。何の楽しみもない邑へ楽しみを持ち込み、それを通貨とし。取り込みのための工作を始めるアイリス。その様を見、エドゥリカの心は揺れる。
彼女達と関わる同法の目に輝くのは、楽しみの明。それは自分が齎せたものか。自分には一体、何が出来ているのか。自分が切り捨てた妹分すらも彼女達に取り込まれ。更には自分の身柄まで、借金のカタとして取り上げられる。
しかしそれは必要な時間。全ての責務から解き放たれフラットな目で見る事で、知らなかったものが見えてくる。今まで自分についてきてくれた者達の思いが見えてくる。
「だから、もっと頑張ろうぜ」
その発見は成長を招き。悪徳商人による魔獣の大群の襲来の時、彼女は再び本当の意味で族長として立ち上がる。
その様を見、不敵に笑い。アイシアもまた貧乏くじを引きながらも果敢に立ち回り、砂糖から作る秘密兵器を惜しげもなく披露するのである。
前巻よりもあくどさが増し、更に笑えて学べる今巻。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
美少女エルフ(大嘘)が救う! 弱小領地 2 ~金融だけだと思った? 酒と女で作物無双~ (電撃文庫) | 長田 信織, にゅむ |本 | 通販 | Amazon