読書感想:魔帝教師と従属少女の背徳契約3

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前巻感想はこちら↓

読書感想:魔帝教師と従属少女の背徳契約2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、この作品においては様々な魔術が取り上げられ戦いの力として利用されている訳であるが、画面の前の読者の皆様は「京都」という地名を聞いて、魔術的にはどんな連想をされるであろうか。その答えは恐らく一つに集約されるであろう。その答えは「陰陽術」。日本に古来から伝わる呪術、その総本山として京都は描かれる事が多い。今巻ではその京都が舞台となる巻なのである。

 

 

前巻の最後、ジョゼフ達の元へと齎された円香の転校依頼。ほぼ命令にも近いその依頼をしてきたのは、日本最大の魔術結社、「陰陽寮」。無論ただで渡すわけにはいかぬ。ジョゼフの願いを受けリリスが交渉役として旅立ち。交渉の末、円香を交流生という扱いにし、更にはジョゼフを臨時講師、千夜、アグネス、レイアを交流生とするという譲歩を引き出し。彼等は連れ立って京都へと向かう。

 

 辿り着いた京都で待っていたのは、ジョゼフの後輩である新人女教師、凛(表紙左)や転入先の才能あふれる魔術師、双子の播磨姉妹。凛と旧交を温め、時に大胆な彼女に振り回され。自分の実力を疑う播磨姉妹達にその力を示し認められ。別の場所で始まる学生生活。だがしかし、それだけではいられない。

 

円香が呼ばれた理由、それは最近京都を脅かす最近復活した日本最大の邪教組織に対抗する為。各地の神社を襲い神具を奪い去る姿の見えぬ敵に対抗する為、円香の霊視の力が求められたのである。

 

霊視の通りに神社が襲われ、迎撃に参加したジョゼフ達を嘲笑うかのように神具が強奪され。ジョゼフの力でこっそりと取り戻しておいた神具すらも、まるで狐につままれたかのように、彼等の身近の保管場所から姿を消す。

 

 さて、そろそろ画面の前の読者の皆様も何となくお察しではないだろうか。京都は陰陽術、それ以外にも「陰謀」の渦巻く舞台であるという事を。些細な違和感と教え子の言葉からピースを繋げ、ジョゼフが辿り着いた真実。それは黒幕はすぐ近くにいたという事。この事態の始まりから既に偽りだったのだ。

 

真の目的、それはこれから始まる世界の支配権を賭けた魔術結社同士の大戦に対する為、円香を道具へと変える事。己の心を殺し、その道を選ぼうとする円香。

 

「世界の支配権なんざに興味はねぇが、大切な恋人が失われるなら話は別だ!」

 

 ―――そんな未来、許すわけにはいかぬ。世界なんてどうでもいい、そんな世界は壊してしまえ。話は簡単、至極単純。守りたいなら勝てばいい。全てを貪欲に囲い込んで守り切って、ついでに勝ってしまえばいい。

 

改めて円香と契り絆を結び、彼女の元へ降るは全ての天候を支配する無数の悪魔を従える魔王。そして試練を前に、ジョゼフの力は新たな段階へと突き進む。

 

更に熱く、更に激しく。これまで以上に熱い死闘が新たな大戦の幕を開く今巻。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

魔帝教師と従属少女の背徳契約 3 (HJ文庫) | 虹元喜多朗, ヨシモト |本 | 通販 | Amazon