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読書感想:家で無能と言われ続けた俺ですが、世界的には超有能だったようです3 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、冒険者であるノア達にとって、そもそもが立ち向かいにくいものとは何であろうか。腕っぷしの強い冒険者相手であればちぎっては投げで無双できるかもしれない。しかし、彼等にはどうしても足りないものがある。それこそは「お金」である。
そう、お金はどんなときにも必要なものではあるが、ノア達は商人並みにお金を持っている訳じゃない。商人ではない以上、何処まで行っても限りはある。
だがしかし、商人であればお金で人を動かせる。大商人であれば大規模な作戦だって立てられる。その大商人こそ、五人の義姉の長女である大商会の会長、アエリア(表紙右)である。
ファムの課題をクリアする為に訪れた迷宮都市、ヴェルヘン。アエリアが会長を務めるフィオーレ商会が実質的に支配するかの街は今、二百年ぶりに発見された新たな迷宮のフィーバーに沸き返っていた。
そのフィーバーを気にせず、まずは肩慣らしの為に潜る迷宮を模索するノア達。そんな彼等の前にロウガのかつての仲間、ラーナが現れる。
彼女は言う。かつて自分達が敗北を喫した相手、悪の魔導師が生み出したと言われる「緋眼の牡牛」が再び目撃されていると。何処か何かに憑りつかれたように牡牛を追うラーナを置き、ウォーミングアップを始めるノア達。しかし、ここで炸裂するアエリアの大商人だからこその策により、ライザが契約により離脱すると言う緊急事態が発生する。
しかし立ち止まるわけにもいかぬ、ロウガやクルタ達と潜りに向かう、新たに発見された十三番目の迷宮。そこでふとした切っ掛けから知る、ラーナと闇の商人の繋がりと言う噂。
本当だとしたら、何故彼女は忌むべき存在と手を組んでまで牡牛を追うのか。何が彼女をそこまで駆り立てるのか。その真実は、ノアが迷宮の床をぶち抜き向かった先、再びの牡牛との邂逅の中で明らかとなる。
それは、八つ当たりでしかない。自分の力不足を責めるが故の悔恨でしかない。それでも、もう恨みをぶつける相手は奴しかいない。だからこそラーナは、自分の命すらも投げ出し牡牛へ迫る。
だが、一歩届かず。自在に存在を消す牡牛には如何なる攻撃も意味をなさず。そんな存在を倒す為に必要となるのは、ノアの新たな覚醒。ライザのいる頂へと、一歩近づくためのぶっつけ本番。
その賭けは、彼の気力で成功へと導かれ。そのご褒美とでも言うかのように、牡牛が落とした鍵でたどり着いた魔導師の工房。その先にあった各迷宮への隠し通路の先でノアは聖剣らしき剣を手に入れる事に成功する。
「でも、安心してよ。冒険が終わったら、ちゃんと帰るから」
何故彼はここまで頑張れるのか。ゴーレムを操るアエリアとの戦いにも挑めるのか。それは彼が認めてほしいから。そして、何だかんだと家族は大切である、彼女達の場所が戻るべき場所であると認識しているから。
残る姉妹は一人、偉大なる芸術家である四女、エクレシア。 アエリアをして人間相手では彼女が一番厄介とまで言わしめる彼女はどんな手を繰り出してくるのか。
それが見れる時が楽しみである。
家で無能と言われ続けた俺ですが、世界的には超有能だったようです4 (GA文庫) | kimimaro |本 | 通販 | Amazon