読書感想:高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い

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 いつまでも、あると思うな、親と幼馴染。とかいう一言はさておき、現実世界に於いては例え幼馴染のような通じ合っている典型として語られる存在であっても、言わなければ通じぬものがある。そして、例え幼なじみであっても、絆は簡単に途切れてしまう物であり。「覆水盆に返らず」、という言葉がある様に一度起きてしまった過程は変えられぬのである。

 

 

書籍化した作品が一巻発売早々にアニメ化、円盤が発売されれば爆売れ、映画化してみれば興行収入五百億越えの大ヒット。 小説投稿をきっかけに世界から一つのウイルス感染症を消して見せたと言う伝説を持つ、巷で神と崇められるweb作家、「カミマツ」。

 

「そんな子供の妄想みたいなことが現実に起きるわけないですよ~」

 

 そんな神作家の正体であり、自分のぶっ飛んだ非凡さを気付かぬ少年、勇太。しかし彼はある日、幼馴染であるみちる(表紙)に告白したところ、見事にフラれ落ち込んでしまい。ショックのあまり引退を決意した所、1000万件を超える励ましの感想により立ち直る所からこの作品は幕を開ける。

 

まるでフラれた事から何かが動き出すかのように。関係者だけの祝賀会に参加した事で人気声優である由梨恵やアイドル歌手であるアリッサと知り合い、自分がカミマツであると判明したことにより元からファンであった彼女達の心を掴んでしまい。更には何気なく新作を投稿したらあっという間に書籍化にこぎつけ、その縁で人気イラストレーターである鵠と知り合い。あっという間に彼を中心とするハーレム模様が形成されていく。

 

 それを目撃し、みちるの中に微かに刺さっていた違和感のピースが繋がり、形となり彼こそがカミマツであるとの確信を得ていく。しかし、もう遅い。後悔しても、戻りたいと思っても。犯してしまった過ちは取り返せない。もう彼の寵愛は取り返せない。逃がした魚は大きいと後悔する彼女へと勘違いした間男イケメンである中津川が迫り。執着心を抱かれた彼女は危機へと陥る。

 

だが、そんな彼女を勇太は助けた。まるで逃がした魚が助けに来るかのように、付き合えはしないけれど、それでもと彼女を守る為に立ち塞がり、自身が傷つく事も厭わずに彼女の事を守り抜く。

 

何故か。自身を傷つけた彼女を、何故守ろうとするのか。

 

「僕らは幼馴染だもん。その関係は変わらないよ。これまでも、この先も」

 

 それは、彼の優しさ故に。そして「幼馴染」という関係は、例え何があっても変わらないから。女の子としては、であっても幼馴染として大切だから。

 

「勇太のお話は、すごく面白いよ!」

 

遠回りの果てに許しを得、みちるは幼馴染としてゼロから。酷い事をしたけれど、それでも彼の事が欲しいと参戦する。絶対に負けぬと気炎を上げる。それこそが本当の始まり。彼等のラブコメの始まりなのである。

 

ざまぁは良い、ざまぁした相手を後悔のままに取り返しのつかぬ結果の中に沈めるのも良い。けれど、時に許しがあったっていい筈だ。きちんと反省できたのならば、また始めたっていい筈だ。

 

爽快感と甘酸っぱさのある、面白きラブコメを読んでみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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