読書感想:シャインポスト (2) ねえ知ってた?私を絶対アイドルにするための、ごく普通で当たり前な、とびっきりの魔法

f:id:yuukimasiro:20220308220539j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:シャインポスト ねえ知ってた?私を絶対アイドルにするための、ごく普通で当たり前な、とびっきりの魔法 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で一つの奇跡を起こして見せた直輝と杏夏たち、TiNgS」。しかし前巻を読まれた読者様であれば、まだ何も始まっていないと言うのはもうご存じであろう。それもその筈、何故なら「TiNgS」は未完成であるから。全てを取り戻し、揃えてこそ本当の始まりなのである。

 

 

直輝が気付いた真実、それはこのグループの本当の名前は「TINGS」、三人組ではなく五人組であると言う事。つまり小文字に該当する二人が欠けている。その名は紅葉と雪音。かつて杏夏たちと共に「シャインポスト」を目指しながらも、道を分けてしまった二人である。

 

 求められるは二人を再び仲間に迎え入れる事。おりしも、ご褒美として決まった次の舞台、初の単独ライブの会場は段違いの難易度の舞台であった。その名は「新宿ReNY」。立地的な問題からジャンプ禁止、観客の力を借りれぬが故にアイドルとしての真価が問われる舞台。

 

二か月後に迫った舞台の為、紅葉と雪音に声をかける杏夏たち。しかし、どこか偽悪的に振る舞う雪音は何故か春へと勝負を挑み、望まぬ勝負は幕を開ける。

 

 何故彼女達は、春へと勝負を挑んだのか。そこに込められていたのは二人の脱退の真実。春と言う強すぎる輝きの傍ら、自分の輝きを自覚させられた彼女達があえて選んだ敵になると言う道。

 

そしてそれは、春もまた抱えていた悩み。強すぎる自分の光が仲間達の心を折ってしまっていたという苦い過去。その後悔があったからこそ、「本気」の演技を続けていた。自分を偽り、自分を演じ。仲間達を守る為、只一人で孤独に戦い続けていた。

 

「なら、勝負しますか? ちょうどよく、うってつけの場所がありますし」

 

 そんな彼女に必要であったのは、共に輝くだけの仲間じゃない。自分こそが最も優秀であると胸を張って主張してくる、春と言う輝きに飲み込まれずに寧ろ飲み込まんと対抗してくるような輝き。ぶつかり合って、本音をぶつけ合って。望むところを認識した彼女達は、再び一丸となって舞台へと駆け出していく。

 

今ここに、真の意味で彼女達の伝説が幕を開ける。ではそんな彼女達に、欠けてはならぬのは誰か。そう、直輝である。彼もまた、欠けてはならぬ存在である。

 

彼の存在を賭けて新たな勝負が始まる次巻、そこにはどんなぶつかり合いが待っているのか。

 

その様が楽しみである。