読書感想:異端な吸血鬼王の独裁帝王学 ~再転生したらヴァンパイアハンターの嫁ができました~

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 さて、二次元界隈においては医療を舞台とした作品が様々に存在すると言う事は画面の前の読者の皆様も、ご存じであろう。医術、それは人間の生存率を上げる上で必須ともいえる要素である。では、例えばファンタジー世界のような異世界において、医術はどんな扱いを受ける事が多いであろうか。 魔法があるなら回復魔法で済まさせる事も多く、ないがしろにされる事も多いかもしれない。

 

 

そんな技術を生かし、異世界を変える為に乗り出していくのがこの作品なのである。

 

重度の日光アレルギーにより外出もままならず、引きこもりながらも医療知識を貪欲に集める少年、涼。 何故こんな事をしているのか、その目的も思い出せず、それでも日々知識を吸収する日々を過ごす中、ある日漆黒に染まった太陽を目撃した瞬間、まるで人体発火現象のように彼の身体は燃え上がる。

 

 だがしかし、彼は死んだわけではなかった。次に目が覚めた途端、彼は自らの過去を思い出す。それは自身が、異世界の吸血鬼を支配した吸血鬼王、アンファング(表紙左)であった事。しかし、目覚めて早々、彼は自身の目覚めを待っていた忠実な従者、ティルから衝撃の事実を知らされる。彼の眠りから五千年の時が経過しており、その間に配下だった吸血鬼達の暴走により、人間達は乱獲され絶滅の危機にあるという事を。

 

情報の収集をする為、ティルと共に外出した先で見つけた少女、吸血鬼王を探すヴァンパイアハンターの少女、リーナ(表紙右)を保護し仲間に加え。最初に訪れた町、ヴェルクラウツに拠点を構え。流れのヴァンパイアハンター、それも聖剣持ちという触れ込みで町を守ることを引き換えに居つき、町を守るハンター、ユリウスと親交を深めながら、アンファングは新たな目的を見出していく。

 

 新たな目的、それは吸血鬼だけではなく人間もまた生かすと言う事。吸血鬼と人間の共存の為、人を乱獲しないために一先ずは「輸血」システムの作成を目指し、素材を探し駆け回る。そんな彼等の元へ迫る不穏な影が一つ。その名はディートヘルム。界隈を支配する吸血鬼であり、リーナに切れぬ枷を括りつけた主である。

 

自らの玩具を回収する為、傲慢な態度で襲来する彼。普通であればやり過ごすしかない、逃げられない。

 

「永遠に消えて無くなれ。それがせめてもの情けだ」

 

 だが、今は違う。何故ならばここには怒りに燃える王がいるから。王の前に敵は無し。自身の怯えを一歩超えたリーナの血を取り込み、滅する為の力を携えたアンファングは己の力を見せつけ。正に圧倒的に、完膚なきまでに殲滅の力を振り下ろす。

 

再転生と言う珍しい状況から、王道的なファンタジーが始まるこの作品。まだまだ始まったばかりなれど、確かな面白さがあるのである。

 

王道的なファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。