読書感想:鬱ゲー転生。 知り尽くしたギャルゲに転生したので、鬱フラグ破壊して自由に生きます

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 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様は何処かのゲームの世界に転生するとしたら、どんな世界に転生してみたいだろうか。例えばバイオハザードやモンハンのような命がけの戦いをしなければいけない世界には転生したくない、ギャルゲーの世界に転生してヒロインといちゃいちゃしたいという読者様もおられるであろう。

 

 

だがしかし、例えばゲームの本筋に抵触するような行動をとってしまったのならば恐らく物語の流れは書き換わってしまうだろう。いくら見知った世界だとしても、未知な事態は起こしたくない。故に抵触しないように気を付けるかもしれない。

 

 だがしかし、この作品では物語の流れの徹底的な破壊を目指していく。それは何故か。それは舞台となる世界が所謂「鬱ゲー」な世界だからである。

 

証券会社に勤める天涯孤独な男性がある日、掃除中に見つけた古きゲーム。それは「曇りなき青空」、通称、「くもソラ」。計三シリーズが発売された所謂「鬱ゲー」であり、和風伝奇ホラーの要素を含む泣きゲーである。

 

 懐かしみを感じ、プレイするも全クリア済みなのですぐに終わってしまい。物寂しさを覚え眠りについた男性が次に目覚めた瞬間に気付く。自分は「くもソラ」の主人公、祐樹(表紙中央)に転生していると。

 

あまりに信じられぬ状況であるがどう見ても現実。とりあえず提示された最初の分岐をメインヒロインである幼馴染、「ぷひ子」こと美汐以外に進むように誘導した祐樹は思いを巡らせる。そもそもこの状況は何か。一体どうすればよいのか。

 

 物語の根底にも関わる面倒な呪いの攻略はしたくもないし、ノーマルエンドなんてないこのゲームで、卑怯な手によってヒロインを攻略したくもない。ならばどうすべきか。そうだ、そもそものトラウマの元凶を叩き潰してしまえば良いのだと。その結論に至った祐樹は始めていく。全てをぶち壊す為の過激ともいえる方策を。

 

まず必要なのは金と人脈。金を得るために、疎遠となっている父母に働きかけ、絶海の孤島にある学園の理事長を務める母親に取引を持ち掛け手を結び。かつての知識を用いあっという間に金の準備を進め。

 

その傍ら、便利な能力を持つマスコットキャラクターである黒兎を捕獲し。真名によって契約を結び、その能力で様々な地に繰り出して人脈を広げていく。

 

 集めた金と人脈を通じ、早速ラスボスをコンクリで埋めて封印してしまい。まずは大元を潰し、その後も謀を巡らせる祐樹。しかしここまで語れば、もうお分かりであろう。ここまでやって、物語の流れが無事で済む訳なんてないと。

 

初恋の相手であるみか姉(表紙右)は、フラグの未知の変更により祐樹に助けられた事で、彼の実質的な所有物のようなものになり。

 

このゲームの中ではマシな方の部類であるヒロイン、シエルのメイドであるソフィアのかつての知り合い、アイ(表紙左)をモブキャラという立場から結果的に救い出す事になり。

 

 彼の想定を何処までも越え進む事態は、予定を変更し急遽、彼から「普通」の仮面を取り払い。それでもまだまだ、と言わんばかりに潰したはずのトラウマのフラグが同時多発的に彼へと襲い掛かってくる。

 

(上級ギャルゲーマーを舐めるなよ!)

 

それでも、乗り越えるしかない。それは何故か。それは彼がまだゲーマーであるから。自らの意思で選ぶからこそ、挑戦する前から諦めぬからこそ。その志がまだ燃えているからこそ、こんな状況もまた望むべき危機なのだから。

 

正に過激、どこまでもドタバタ。中々に癖が強く、様々な方向に尖っていると言えるこの作品。

 

然し、その面白さが刺さるのなら。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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