読書感想:じつは義妹でした。2 ~最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ~

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前巻感想はこちら↓

読書感想:じつは義妹でした。 ~最近できた義理の弟の距離感がやたら近いわけ~ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、もしも行き場を失った想いを抱え、てしまうとしたらそれはとても切ない事であろうし、きっといつか何か身に跳ね返ってきてしまうかもしれぬ爆弾となるであろう。だがしかし、この作品の主人公である涼太とヒロインである晶にとってはそんな心配も無用な筈。何故なら二人の間の溝は、もう埋まり切っていると言っても過言ではないのだから。そして今は晶による涼太と言う名の城の攻略戦が始まっている状態であり、果敢な攻勢により既に外堀は埋められていると言っても過言ではない状態であるからである。

 

 

「僕がこんなことするの、兄貴だけだよ・・・・・・?」

 

「だって僕、兄貴のことが大好きだから」

 

四人家族と言う体系にも徐々に慣れ始める中、晶の提案により始まった「妹に慣れる訓練」。訓練の名目を盾に、いっそ思い切って真っ直ぐに絡んでしまえという押せ押せな晶に、分かってはいるけれど涼太の心はこれでもかと揺らされる。家族の幸せを考える、という名目を盾に体裁を守れど、心までは守れぬと言わんばかりに。

 

 しかし、まだまだ晶は外では人見知りの激しい面しか出さぬという問題を抱えており。それも何とかしないと、と涼太が考え始める中。「花音祭」と呼ばれる学園祭の季節が迫る中、涼太の友人である光惺の妹であり、晶の友人でもあるひなたが演劇部のピンチヒッターとなり、晶もまた巻き込まれていく。

 

問題を抱える演劇部、演目は「ロミオとジュリエット」。ひなたがジュリエット、晶がロミオ役として。いきなりの主役という重圧を涼太が心配する中、晶は涼太を安心させたいからと勇気を振り絞る。

 

「だからこれは、俺の覚悟の表れみたいなもの。俺なりの意思表示だ」

 

 その覚悟を見、己の視野が狭くなっていた事を自覚し。更には演劇部の部長である和紗が抱える秘密を知り。覚悟を決め、涼太は入部と言う選択肢を取る。

 

クラスの出し物を準備しながらも、演劇部の一員として力を振るい。どんどんと進む準備。しかし不穏はすぐそばまで迫っていた。文化祭当日、ひなたが自転車との接触でケガをしてしまうと言うアクシデントに見舞われてしまう。

 

 だが、それでも成功させたいと言う思いがある。何とかしたいという願いがある。急遽、晶をジュリエット、涼太をロミオとし舞台の幕が上がる。・・・だが、それは果たしてハッピーエンドに繋がるのか? 全体にとってはハッピーエンドでも、ひなたにとってはバッドエンドに他ならぬのではないか?

 

「私があなたをもらってあげるわっ! ううん、私をお嫁さんにしてっ!」

 

そんな結末はいらない、誰もが笑わねば意味はない。ならば、どうすべきか? 簡単な話だ。そんな未来は壊してしまえ。舞台を丸ごと、まるでおもちゃ箱をひっくり返すように覆してしまえ。

 

そう言わんばかりに、暴走を望み自由に駆けだし。悲劇は喜劇へと様変わりし、心のままに放たれる彼等の輝きが舞台を彩っていく。

 

きっと最後には責任を取る日が来るのだろう。だけど今は、このままで。異性愛が攻勢を強める中、負けじと家族愛が要所要所で魅せつけていく。二つの愛と愛の真ん中、弾けるような恋が更に駆けだしていく今巻。

 

だからこそ、前巻を楽しまれた読者様は是非。やはりラブコメ好きな読者様も是非。

 

きっと貴方も魅了される筈である。

 

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