読書感想:変人のサラダボウル2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:変人のサラダボウル - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で変人達のスラップスティック、正に狂騒劇と言わんばかりの様相を、まるでおもちゃ箱をぶちまけるかのように一気に展開した今作品であるが、前巻から続く今巻では一体、どんな騒動が展開されていくのだろうか。そう気になられている読者様も多いのではないだろうか。そんな読者様がおられるのであればこう言いたい。今作品、正にぶっ飛んでいくぞと。

 

 

サラとリヴィアが岐阜の地に降り立ち早一か月。あっという間にこの世界に馴染み、友達を作り。惣助の助手を務めながらもこの世界に馴染み、段々とこの世界に根付きつつあるサラ。そんな彼女を見つめ、惣助の心の中に浮かぶ一つの感情。それはサラを学校に通わせてあげたいという事。

 

 サラもまた、友奈のような面白い人間がいるなら会ってみたいと望み。しかし、相談を受けたブレンダは方法はあるも中々難しく、最悪非合法に頼るしかないと告げる。

 

それもまた仕方のない事かもしれぬ。何故ならサラは、異世界人だから。そもそも外国人ですらなく、故にそもそも戸籍すら存在しない。

 

「お前、俺の子供になるか?」

 

「うん」

 

一先ず棚上げにし、改めて過ごす何気ない日々。そんな中、調査対象を追い訪れた競馬場で二人で競馬に熱中し、調査対象に親子に間違われてしまい。顛末の先、自然に惣助の口から漏れ出た家族と言う枠組みへの誘い。

 

それをサラも、自然な調子で承認し。惣助の父親である勲の手も借り、非合法な一手も切って。己の信念すらも黙殺し、家族になる事を選び。改めて「日本人」、この世界の住人になったサラは学校へ通いだす。

 

・・・と、ここまで延々とサラの事について語ってきたわけであるが、果たしてリヴィアはどうしているのかというと。もう波乱万丈、サラとは真逆なジェットコースター的な人生を辿っているのである。

 

謎のチンピラ、タケオに仕事を持ち掛けられたかと思えば転売ヤーに身をやつし。サラに怒られ辞めたかと思えば、望愛に拾われ教団の象徴として、彼女の元でアドバイザーと言う名のヒモになったり。

 

「リヴィアちゃん、望愛さん! メジャーデビュー目指してみんなで頑張るっすよ!」

 

そこに、実はバンドマンの卵であり自身の所属していたバンドの解散という鬱き目に遭ったプリケツこと、本名明日美まで合流し。何故か新たなバンドを組みメジャーデビューを目指すと言う、何処を目指しているのかというぶっ飛んだ方向へと突き進んでいく。

 

 正に混沌。サラとリヴィア、それぞれのサイドで多角的な人間関係が構築され始める今巻。しかし二つのサイドは未だ本格的に交わっていない。ならば交わってしまったのならどうなるのか。それはもう、きっと混沌の大爆発に他ならぬであろう。

 

だが、今巻は笑える。それは間違いない。そして前巻よりも更に笑えるのである。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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