読書感想:浮遊世界のエアロノーツ2 風使いの少女と果てなき空の幻想歌

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前巻感想はこちら↓

読書感想:浮遊世界のエアロノーツ 飛空船乗りと風使いの少女 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻から随分と期間を空けた今作品であるが、この作品は私イチ押しのラブコメ、「恋は双子で割り切れない」と同期の作品である。と、考えると随分と間が空いた、というのはご理解いただけるのではないだろうか。それはともかく、心躍らせる面白さがあるのは確かである今作品。「始まりの島」を目指す拍人についていくことを選んだアリアの旅は、まだ始まったばかりである。では、今巻ではどんな旅が繰り広げられるのだろうか。

 

 

『拍人さん、わたしに飛空船の操舵を教えて』

 

『分かった』

 

旅を始めて早々、拍人が無理がたたって過労で倒れ。そんな危機的状況であっても自分には看病くらいしか出来ず。そんな状況を打開するためにアリアは飛空船の免許を取ることを決意し、訓練の為の島である砂漠の島、タルタを訪れる事からこの作品は幕を開け、新たな出会いと新たな未知が彼女を待っている。

 

訓練島で出会った拍人のかつての同僚、バッカスとその愛弟子、コルト。未熟なままに成長できぬ愛弟子が隠していた思い。

 

バッカスより齎されたヘルメスの手記が発見されたと言う一報。その一報を元に訪れた神樹と呼ばれる大樹が神託を下す事で安寧が約束された島。ヘルメスの手記を手に入れていた作家、ニーナが心の奥底に持っていた自由への羨望。

 

彼女の目的地とヘルメスの手記で記された場所が被る、代々歌姫と言う役職が受け継がれてきた島。その当代の歌姫を務める女性と、歌姫という役職の秘密を知り、彼女を解放したいと願う幼馴染の女性の思い。

 

 新たな島を巡り、その身に秘めた才能を発露させ大きく羽ばたきだすアリア。そんな彼女を失いたくないから、もう二度と大切なものを失いたくないと今度こそ置いて行こうとする拍人。

 

「わたしにとって何がいいかは、拍人さんが決めることじゃないよ!」

 

だが、アリアはそれを少しだけ強くなった心で毅然と拒絶し、自らも真実へと立ち入る資格を示す。自分の意思で彼についていくと、決意を凛とした声で口にする。

 

「大丈夫だよね。わたしたちの答えは、決まってる」

 

 そして二人の目の前に、手記から導き出されたヘルメスからのメッセージが衝撃的な事実を晒す。それは干渉力の起源、其処から繋がる世界変貌の真実。そして世界の選択を迫る、究極の二択。

 

だが、もはや迷いはない。既に大切なものは得ているから。だからこそ、迷わずに進む新たな旅が、明確な目的を持った旅がここから本当に始まるのだ。

 

更に心躍る中、ストーリーが本格的に幕を開ける今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。