前巻感想はこちら↓
読書感想:武装メイドに魔法は要らない - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれた読者様であればこの世界に於ける銃火器のアドバンテージ、というものは実はそんなに存在していないと言うのはもうご存じであろう。まるで天災が如き力を簡単に振るう騎士達、それに対抗するのは並大抵の力では足りぬ。しかし、実は脅威はそれだけではない、というのが今巻で判明する事実なのである。
前巻のド派手な戦いの中、死力を尽くし掴み取った戦果。炎槌騎士団を撃退した、という戦果を評価されマリナとエリザに新たな任務が下される。
それは、戦争を終わらせるためにこの国へとやってくる帝国の皇帝を護衛すると言うもの。その為にエリザの元へと齎されたのは、亡き父親の形見、「万槍」。竜がその身を転じさせた、万にも及ぶ複製を自由自在に操る強大な武具。
だがしかし、かの武具との盟約の内容は失われ真の力を使うには程遠く。そんな中、帝国の皇帝、ヒロトを護衛することになり。実はマリナと同じ日本からの転生者であり、同じくゴーレムであった彼と親交を深めながらも進む旅。しかし、刺客が襲い来る。今までにもない強敵が。
殺害した騎士の遺体を繋ぎ合わせた首なし騎士、そして他者の魂を喰らいその姿を真似るドッペルゲンガー。巻き起こる遭遇戦の中、不意の一撃によりマリナはヒロトと共にドッペルゲンガーの腹の中へと飲み込まれ、偽りの東京へと迷い込んでしまう。
かの世界で待っていたのは、マリナがかつて秘かに救っていた子供達。その影。凶刃を手に自身へと迫るかつて守り抜いた者達を殺す事。それでしか今、守り抜くべきものを守ることは出来ぬ。
脱出する為に力を尽くすマリナは、自身の腹心とも言える存在であった少女、サチの影を敵の本体ごと撃ち抜く事を選ばされ。
現実世界で必死に戦うエリザは窮地に追い込まれながらも、マリナの無事を主人として、愛する者として信じ。
「さあ、お掃除の時間でございますよ。―――覚悟はよろしいですか、ゴミ屑」
そして、帰還は遂に為る。それは哀れな敵への蹂躙劇が始まる合図。「武装戦闘メイド」の心を踏みにじり、逆鱗に触れた。哀れな敵に、哀しみと怒りに身を焦がすメイドが振りかざすのは何か。それは鉄の鉄槌。容赦なく、裏切り者も敵も一切合切を蹂躙する、暴力的なまでの力である。
だがしかし。その先に待っているのは何か。安寧か、否。大乱の気配である。「万槍」の力の一端を引き出す事に成功したエリザ、彼女のメイドであるマリナを容易く飲み込む大乱の大嵐の気配なのである。
更なる強敵が現れ、世界観が大きく広がる中、更なる鉄の暴風吹き荒れる今巻。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。