読書感想:【擬人化】スキルでチート美少女を生み出して最強皇国を造ってみる

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 さて、突然ではあるが、二次元上のコンテンツの流行の一つとして「擬人化」というものがあるのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。世界の艦船に始まり、競走馬といったものから果ては温泉や野菜まで。様々なものを美少女へと変身させ売り出していくのは、やはり日本固有の文化であるのだろうか。

 

 

さて、そんな前振りとこの作品の題名から、既に画面の前の読者の皆様はお分かりであろう。この作品では「擬人化」というスキルが鍵となる事を。

 

 しかし、擬人化スキルと聞いて画面の前の読者の皆様は「多分擬人化すると言っても武器くらいでは?」と思われているのではないだろうか。そんな考えを持たれている読者様がおられるなら、その予想は甘いとだけ申しておこう。

 

百五十年ごとに魔王が生まれ、人々に女神が付与する「恩恵」と、伝説級の武具を無限に生み出す「霊神樹」と呼ばれる大樹の力で人々が対抗する、とある異世界

 

 そんな世界の片隅、「恩恵」を与えられずに追放され幼馴染の少女、シャルナから託された聖剣のみを携え流離う少年、アッシュ(表紙左)。しかし、そんな流浪の中、彼は「霊神樹」を保持し世界征服を目論む悪の帝国、神聖ヴォルゲニア帝国の侵攻から逃げてきた故郷の者達と出会い。更には侵攻部隊の襲撃をも受けてしまう。

 

力もなく、なすすべもなく殺されていく故郷の仲間達。力が欲しいと叫ぶ己。

 

 その瞬間、不思議なことが起こった。今まで目覚めなかった彼の「恩恵」、擬人化スキルが目を覚まし。聖剣がシルティーナ(表紙右)という美少女へと変わり。圧倒的な力で帝国軍の撃退に成功したのである。

 

しかし、一つの勝利に溺れるわけにはいかぬ。未だ帝国の脅威は止まず、既に開戦の火ぶたは切られている。

 

 だからこそ、アッシュはシャルナやシルティーナと共に戦い抜く事を決意し、彼の「擬人化スキル」を生かしたある種えげつない戦法を取り立ち向かう事を決意する。

 

手始めに帝国から伝説級の武器を根こそぎ奪って擬人化し、更には敵の要塞に侵攻し要塞を擬人化させて味方につけ、更には敵の装備品を擬人化し売却、戻ってきてもらうという無限ループを考え(未遂)、あげく敵の街の施設を全部纏めて擬人化し、電撃戦が如く街を消失させて見せる。

 

 若干悪魔的にすら見える、えげつない戦略。しかし帝国も去るもの。禁忌の技術すらもこれでもかと惜しげもなく披露し、アッシュ達の命を刈り取ろうと容赦なく迫りくる。

 

「―――俺は、明日へ進みます」

 

それでも、前へ進む事を諦めはしない。皆で明日を迎えるために、進んでいく。

 

擬人化娘達に振り回され、胃を痛めるシャルナのツッコミが冴えたりとコメディも光る中に、独特の面白さのあるバトルが光るこの作品。

 

一風変わった作品が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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