前巻感想はこちら↓
読書感想:友達のお姉さんと陰キャが恋をするとどうなるのか? - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の終盤、一世一代の告白を経て付き合いだしたこの作品の主人公、レイジとヒロインであるサクヤであるわけであるが。画面の前の読者の皆様の中で前巻を読まれた読者様であればこう思われるのではないだろうか。・・・果たしてこの二人、付き合いだしたからと言って簡単に、上手くいくのだろうか、と。
「・・・・・・姉貴って、いざっていう時にへたれメンタルなんだよなぁ・・・・・・」
「いいだろ、ふたりは付き合ってるんだからバレれば!」
「色々あるのよこっちにだってー!」
そう思われた読者の皆様、その予感は大正解であると言わざるを得ない。サクヤの肝心な時にはヘタレなメンタルと、レイジの天性の鈍感さも相まって。付き合いだしたけれど、今まで通りの距離感を保っていたのである。
そんな状況を打開するにはどうすればよいのか。ならば環境を変えてしまうのが良い。じゃあどうすればよいのか、そうだ、一人暮らししてしまおう。
アヤトの提案による一念発起、大学の友人達の協力も得て、一人暮らしに向けて準備を始めるサクヤ。
そんな中、サクヤに誘われ共にやる事になったモデルのバイトの現場で、レイジはとある少女と出会う。彼女の名はミア。今を時めく現役モデルであり、レイジとは同じクラスで彼の友人がフラれた間柄、更には幼い頃にちょっとした運命的な出会いをしていたという、フラグの数え役満的な少女である。
秘かに焦がれ、けれど言い出せず。尻込みしている間にサクヤという恋敵が現れ彼女と結ばれ。少しずつ距離を詰めようと、接点を増やそうと様々なアプローチを仕掛け。だけど、サクヤに向ける視線の中に思いの強さを自覚し、そして自分の中で何かを変える為、敢えて自分の武器を封じて世界に示し。けれどそれは受け入れられず、雨に泣き。
そんな彼女を救ってくれたのはサクヤで。自分をあの日のレイジのように支えてくれた彼女に、負けられぬと感じ。彼女は一歩、新たな魅力を身に着け踏み出していく。
そして不穏はもう一つ。一人暮らしを始めようとするサクヤに迫る、不審者の影。そんな影が迫るのならば、それに対処するのは誰か。それは勿論、レイジとアヤトの役目である。アヤトの人脈とチームワーク、そしてレイジの類まれなる運動能力で。不審者を追い詰め、お縄にするのである。
「・・・・・・はい、将来ふたりで住んで、本当の新婚生活しましょうね」
「わ、わかってるなら、いいのっ」
何も変わっていないように見えて、でも何かが変わっていく。少しずつ、甘さの深まっていく今巻。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。