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読書感想:ホヅミ先生と茉莉くんと。 Day.2 コミカライズはポンコツ日和 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、この巻の感想を書いていく前に、画面の前の読者の皆様には今巻のサブタイトルである「青い日向で咲いた白の花」という部分を是非覚えておいていただきたい。では一体、この部分は一体何を表すのか? その部分を明言するのは野暮であると思うので、それは是非読者の皆様自身の目で確かめてみてほしい次第であるが。
さて、そんな今巻は一体どんな作品となっているのであろうか。その答えを簡単に言ってしまうのであれば、「夏」。
そう、「夏」である。どこまでいっても「夏」であり、茉莉も夏休みとなり本格的に合流したが故に大人も子供も一緒になって楽しむ、正しく「夏」のお手本と言っても過言ではない巻なのである。
ある時は皆で海に行ったり。またある時はひまわり畑に出かけたり、夏祭りに繰り出したり。
ハレルヤを弟子にしたポンコツがホヅミこと朔に迫るも華麗に鈍感スキルでスルーされたり。そんな一幕があったかと思えば、朔が茉莉と意図せずしてゼロ距離まで距離を詰めてしまい、思わず心を揺らしてしまったり。
今まで積み上げてきたものの上から更に積み重ねる、いつもとは違うように見えて根底は同じな温かな日々。何処にでもいつもある平凡な日常、しかしそれが何処までも優しく。日常をまた何度となく積み重ねる中、朔と茉莉の創作への想い、作品への想いが交錯する。
夏の終わり、朔の作品を出版するレーベルの合同イベント。その花形となるステージを襲うアクシデント。折角作られた朗読劇をこなせる声優の不在に、閉ざされそうになる路。
「やっぱり、やっぱり、駄目です。どうしたって納得できません」
大人ならば諦めているかもしれない、だけど子供だからと。茉莉は涙と共に必死に訴える。こんなところで終わりにしたくなんかないと。
その願いを叶えずしていつ叶えるのか。今、その涙を止められるのは誰か。その信条の真価を今、問われているのはどこの誰か。
「できるんですよ、双夜さん」
「それを可能にするのが、わたしたち作家という生き物」
問われているのならば見せつけてやればいい。たった一人の願いを叶えずしていつ叶える。奇跡を求められているのならば、奇跡だって起こしてしまえばいい。例え朔一人でできないとしても今、皆がいる。奇跡を起こすに十分たる力が此処に在る。
皆で力を合わせ、作者と言う業の極致へと挑むかのように。全員で力を合わせるその先に、奇跡が待っていない訳が無いだろう?
奇跡の先、二人の日常は続く。自身で選んだ道は続いていく。
幸せに溢れる日常が何処までも温かく、そして優しい。だからこそ敢えて言いたい、最高だと。
願わくば、もっと先までこの作品の道が続きますように。
シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。