読書感想:三つの塔の物語2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:三つの塔の物語 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の感想、または前巻を読了済みという認識の元でここから先の感想を読んでいただきたい次第であるが、画面の前の読者の皆様は前巻の中で特にフーズとイサラと絡みのなかった登場人物がいるのは覚えておいでであろうか。先に答えを言ってしまうのであれば、その名はフィスタ(表紙右)。フーズとイサラの年上の幼馴染であり、フィス姉と呼ばれて慕われる少女である。そんな彼女も今や神剣を携え、最強の冒険者の集団である「エクストラレンジャーズ」の一員であり。文字通り住む世界が違ってしまった彼女は変わってしまったのであろうか。

 

 

「やーっと会えたー! フーズの匂いだー。 うふふ、フーズが近くにいるー。このまま一生離したくないなー」

 

否、そんな訳は勿論なかった。彼女は彼女のまま成長しており、フーズとイサラを愛する心もその目的も変わらずに、強く成長していたのである。

 

住む世界は違ってしまったけれど、ようやく再会できた幼馴染三人組。そのまま旧交を温め、フィスタが先んじて手に入れていた解呪用のアイテムの一つも無事に預かり。彼女を通じエクストラレンジャーズの面々とも交流し、強くなる為のヒントを得ていくフーズとイサラ。

 

が、しかし。そんな二人、特にフーズを面白くなさげ、どころか憎しみを込めた目で見る男が一人。フィスタに強い憧れを抱く同僚、ルードフッドである。

 

謎の占い師に扇動されるがまま、フーズにフィスタを賭けた決闘を挑んでくるルードフッド。圧倒的に格上、更には彼が差し向けた刺客まで襲い来る。それを何とか跳ね除け挑んだ決闘。やはりフーズが力及ばず敗北か、と思われたその瞬間。ルードフッドは突如魔壊族へと変貌を遂げる。

 

 そう、魔壊族である。前巻を読まれた読者様であれば、イサラの身体には何かの秘密がある事、そして魔壊族が何かを企んでいる事はもうお分かりであろう。その魔壊族の最強の十三人の一人、ハスロスフが多数の魔物を率い王都を襲撃し。否応なく戦いの中に引っ張り出されたフーズ達は、王都に出現し蹂躙を始める魔物達を相手に、死闘を繰り広げる事になっていく。

 

「戦う前からそんな辛気臭い顔しないの」

 

戦いに挑む前、二人共に奥の手を切らざるを得ない予感に心を揺らし、イサラに笑顔にされて送り出され。だがしかし、巨大花や白熊、更にはマンティコアと言った今の彼等では決して届かぬレベルの魔物達との連戦の中、フーズは遂に奥の手を切る。焦り故に歪に、けれど突き抜けた形で身に着けてしまった氣の力を。

 

その裏、単独で王城へと侵攻したハスロスフは騎士団に討ち取られ。その死に際に不吉な遺言を残し死んでいく。まだ何も終わっておらず、王都を蝕む魔壊族の影は決して消えてはいないという事を。

 

前巻にも増して、格上との戦いが増える中、舞台の深さが更に増していく今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。 きっと貴方も満足できるはずである。

 

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