読書感想:はじめての『超』恋愛工学 Lesson1. 女子大生に師事した僕が彼女の妹(※地雷系)を攻略してみた

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 さて、恋に落ちたら科学的に証明する、というのは某アニメ化もされたあの作品であるが、世の中には恋愛工学というものがあるらしい。恋愛はフィーリングという読者様、百戦錬磨の読者の皆様がおられれば無縁かもしれないそんな恋愛の仕方。だがしかし、もし本気で恋愛がしたいのならばそんな方法に頼るのもありなのかもしれない。

 

 

女日照り、彼女無し、取り柄になるもの、特技等何にもなし。ごく普通という言葉を辞書で引けば具体例として出てきそうな平凡な少年、那央。女性との出会いもなく、恋愛する事もなく。最近の出会いと言えば、バイト先で思わぬラッキースケベをしてしまい嫌われた「地雷系」少女、藍夏(表紙)との出会いくらい。

 

「―――もう一回言うね。藍夏の彼氏にならないかっていうのが、ナオへの提案」

 

 だがしかし、灰色の青春だったはずの彼の日常は、とある一人の女性との出会いで急展開を迎える。その名は櫻子。女子大生インフルエンサーであり、藍夏の実の姉の女性である。

 

どういう訳か妹である藍夏を売り込まれ、而してまずは好感度はマイナススタート、関係性は友達以下、那央の恋愛スキルもマイナスという意外とどうにもならない状況下。

 

それを打開するための策として、提案されたのは恋愛工学。直感と主観に頼るのではなく、様々な統計や実験に基づき構成された、科学で攻略する恋愛。

 

ゆっくりと関係を深めるのではなく、短期決戦のスピード勝負で。一途さを見せるのではなく、敢えてモテる部分を見せつけて、自分に興味を惹かせたり。

 

 様々な恋愛工学で、少しずつ藍夏と距離を詰めていく中。那央はふとしたすれ違いから、藍夏と櫻子が抱える事情を知っていく事になる。

 

何故藍夏は地雷系なのか。その性格は何故形成されてしまったのか。その根底にあったのは過去の負の遺産。今まで限られた者にしか明かせなかった、抱えた事情。

 

今また藍夏に迫る黒い影、放してしまったその手をどうすれば良い。今駆け出さずしてどうする、例え恋愛工学に基づいていないとしても、そこに何の関係がある。

 

「やがて僕の目指すところが何になるのか、それはまだわかりません。でも誰かと仲良くなるにあたって、誰かと関りを持つための手段として、恋愛工学は僕を助けてくれる教科書になると思うんです」

 

 駆け出し、藍夏の元に駆け付け。那央は一歩成長したその瞳で、新しい道を見出していく。否定するだけでも肯定するだけでもない、新しい道を。

 

恋愛工学という科学的要素を絡めながら、王道系に丁寧に仕上げられたこの作品。

 

癖のあるヒロインが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

はじめての『超』恋愛工学 Lesson1.女子大生に師事した僕が彼女の妹(※地雷系)を攻略してみた (電撃文庫) | ゆうび なぎ, 林けゐ |本 | 通販 | Amazon