読書感想:星詠みの魔法使い 2.黒水晶の夢色プロローグ

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前巻感想はこちら↓

読書感想:星詠みの魔法使い 1.魔導書作家になれますか? - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

―――さぁ、魔法使いの物語を始めよう。それはこの作品のキーワードでありキメ台詞。前巻を読まれた読者様はそのことはもうご承知であろう。この作品の舞台である、ソラナカルタ魔法学校、世界の不思議の半分が存在しているこの学校。誰もが個性の輝きを持ち、押しも押されぬ魅力を持つこの世界。誰もが主人公であり、主役になれる素質を持っている。なれば、今巻の主役は誰か? まだ主役として舞台に上がっていないのは誰か?

 

 

その答えは表紙の中に。彼女の名はエヴァ(表紙中央)。代々誇り高き魔術剣士を輩出する名家の出身であり、ルナの親友でもある少女である。

 

 だが今、彼女の心の中を占めるのは焦りの感情であった。それもその筈、ある意味仕方のない事である。前巻で悪い虫かと思って突っかかった主人公、ヨヨは圧倒的に格上の強者であり。彼に導かれるように、親友のルナは魔法使いとしての栄光への階段を着実と登りだしているのだから。

 

対し、自分には何があるのか? 素質もない、才能もない。ルナと二人で挑んだ定期試験では後れを取り。焦りに蝕まれ、傷ついていく彼女の心。

 

そんな彼女に指導を請われたヨヨは、知り合いである女学生、シスタスの店でバイトさせたり手合わせしたりと、真っ直ぐに向き合い彼女を指導していく。

 

 だが、そんな日々はある日唐突に崩れ去る。突如としてバイト先に乱入してきた異形の化物、「邪教種」と呼ばれる魔物達によりルナが突如現れたダンジョン、「邪教神殿」へと連れ去られてしまったのである。

 

教師も生徒会も救援は待ってはいられない、今動けるのは自分達だけ。ヨヨと二人、ダンジョンへと突入していくエヴァ

 

探索の最中、自身のミスで彼を傷つけ。それでも彼は、辛い顔一つせず、自分を守る為に魔物達へと立ち向かう。

 

―――ただ見ているだけでいいのか? 立ち止まっている自分でいいのか? 無力に震える自分でいいのか?

 

「―――なれる。きっといつか、お前は立派な魔術剣士になれる」

 

蹲ることは許されない、何故ならば大好きな先輩の言葉が背を押してくれたから。この人だけは自分の事を見ていてくれる、希望の光がそこにあるから。

 

「今度は私が助けますっ!!」

 

―――さぁ、魔法使いの物語を始めよう。小さな勇気を胸に今、大切な一歩を。踏み出した彼女の手、何物にも染まらぬ彼女だけの剣、星空のような黒き剣が目を覚ます。

 

前巻にも増して熱く激しく、そして真っ直ぐに更に作り込まれた世界観がこの作品への愛おしさを更に高めてくれる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱり王道ファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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