読書感想:泥酔彼女2 「弟クンがんばえー」「助けて」

f:id:yuukimasiro:20210708225251j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:泥酔彼女 「弟クンだいしゅきー」「帰れ」 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、今巻の表紙を見て画面の前の読者の皆様は何かお気づきであろうか。今巻の表紙も再び大人のお姉さん、七瀬である。が、それはさておき。主人公である穂積が助けを求めているのは何故になるのだろうか。七瀬と羊子、二人の女性に囲まれ振り回され、主に七瀬に絡まれ時に溜息を吐き。だが、この状況はやはり、穂積自身が持ってきてしまったものである、というのは前巻を読まれた読者様であればもうお分かりであろう。

 

 

そんな彼にも忘れられない苦い思い出、黒歴史と言っても良い思い出がある。その想いでの主の名は、水守。今絶賛ブレイク中の女優であり、穂積の元カノだった少女である。

 

 そんな彼女が沈黙を破り、彼に接触をしてきたのが前巻の最後の光景である、というのは前巻を読まれた読者様は覚えておいでであろう。そう、今巻は彼女が縦横無尽に、まるで台風のように舞台をかき乱していく巻であり、その大嵐が皮肉にも、穂積を取り囲む舞台を整えていくのが今巻なのである。

 

「穂積先輩との初めてが早速ひとつ増えました。私、幸せです」

 

二年の時を越え、接近してこなかった態度を突如として覆し。羊子に睨まれるもどこ吹く風。穂積に怒られた事さえも嬉しいと口にし、穂積を振り回し。

 

「歩道橋渡るのってちょっと特別感がありませんか?」

 

更には今まで関わってこなかった学校でも接近してきて、拒まれない事をいい事に穂積の隣を歩いたりして。

 

「ライバルを一人抜くのも二人抜くのも同じです」

 

かと思えば、彼が知らぬ間に七瀬も気付いていなかった彼女の本心、穂積への恋心を形とし、それでも譲らないとばかりに宣戦布告し。

 

 まるで気紛れに周囲を振り回す猫のように、気紛れに大風で全てを荒らしていく風の神様かのように。そんな彼女に振り回されながらも、穂積は復帰への一歩を踏み出し。彼女達は彼を巡る戦いの舞台への参加のチケットを得て舞台へと上がっていく。

 

やっぱり自分のせいだとは気付かぬ穂積、その鈍感さと何処か危うい献身にそれでも惹かれ集う彼女達。

 

さて、遂にここに彼を巡る四角関係は完成し、彼を巡る戦いは本格的に始まる訳であるが。

 

果たして本当に彼の心を射止めるのは誰になるのか。まだまだもう少しだけ隠された過去の秘密に、どんな真実が隠れているのか。

 

前巻を楽しまれた読者様、是非今巻も読んでみてほしい。

 

この作品の本番はここからであるのだから。

 

泥酔彼女2 「弟クンがんばえー」「助けて」 (GA文庫) | 串木野たんぼ, 加川壱互 |本 | 通販 | Amazon