読書感想:妹の友達の美人ヤンキーJK 世間知らず過ぎて世話を焼いていたら惚れられました

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 さて、ヤンキーと言う人種の方々を画面の前の読者の皆様はご存じであろうか。関わるのが怖い、絡まれると面倒くさい。そんな事を思われる読者の皆様もおられるかもしれない。ラノベの世界においては、ヤンキーとは時に当て馬にされたりする存在であり、時に面倒な騒動の火種となり得る存在、と言っても良いかもしれない。

 

では、youtubeの世界においては一体どうなのであろうか? かの世界においては、時にやり込められ視聴者がスカッとする為の当て馬とされる存在なのかもしれない。だがしかし。時に虐げられる者達にとって良い結果を齎す、気のいい者達として描かれるのも確かなのである。

 

さて、そんなyoutubeのチャンネルの一つである「セカイノフシギ」。かのチャンネルは浮気だったり修羅場だったり、と社会派的であり大人の世界の恋愛が描かれた動画が多い。

 

そんな中、人気の動画の一つであるのがこの作品の原作となった動画なのである。

 

 では、この作品で描かれるのは一体何か? それは妹の友達であるヤンキーな女子高生とのラブコメである。

 

教育学部の大学生、彼女無し。けれど真面目に勉学に励む青年、ツカサ。彼には最近、一つの悩みがあった。

 

それは最近、ヤンキーとしてデビューした妹、マナとその友人が何故か自分の部屋に入り浸っているという事。追い出しても次の日にはまたやってくる、静かにしてほしくてもうるさいばかり。辟易しながら時にキレたり、と何ともまぁ騒がしい日々を過ごす彼。

 

 そんな中、ある日。自分の部屋のベッドで勝手に寝ていた妹の友人、エリカ(表紙)。彼女にカップラーメンを振る舞ったところ、箸の使い方一つすらしらないという事実を知り。それを教育学部の学生として放っておけなかったのか。妹と共に、彼はエリカに様々な事を教えていく事になる。

 

彼が教えていくのは箸の使い方に始まり、生活の知恵から基本的な常識に至るまで生きていく為に必要な知識まで。様々な事を、根気よく教え込んでいくツカサ。

 

「そうだ、夫婦になろう! 結婚したい! 結婚してください!!」

 

 そんな彼のかかわり方がエリカに与えたのは、子供として与えられるべき大切なもの、「愛」。だからそれは必然であったのだろう。まるで生まれたばかりの雛が懐くように、彼女が恋に落ちたのは。

 

水商売で稼いだ母親が誰とも知らぬ種から生んだ、そんな壮絶な生い立ちと、家にいつも父親ではない男がいて味方がいないという孤独。重荷を抱えていた彼女を救ったのは、マナ達仲間であり、ツカサだったのだ。

 

故に、エリカは体当たり的なアプローチを始め。真っ直ぐに自分に向かってくるその想いにいつの間にか絆されて、心揺らされて。

 

「俺、エリカちゃんが好きです」

 

 いつの間にか、妹のようなものだった彼女が特別な存在となっていた。だからこそこれもまた必然なのだろう。まるで離れていた歯車が嚙み合うように、離れていた枝が絡まり合い結ばれるように。二人が恋人同士となるのは。

 

この作品はまごう事無き一対一、ふとした切っ掛けから恋に落ち結ばれていく過程を丁寧に描いた作品である。そして同時に、孤独と虚無の闇を抱えていた少女が大切なものと居場所を得て、「普通」に向かおうと成長していく作品なのである。

 

だからこそ、一粒で何度も美味しい。多角的な面白さがあるのである。

 

真っ直ぐな気質のヒロインが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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