前巻感想はこちら↓
読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件4 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれた読者様であれば一応振り返る必要はないであろうが念のため、一応前巻の振り返りを簡潔にする。前巻の最後、ようやっと真昼と周は恋人同士となり、付き合いだした。(以上振り返り終了) さて、今までは「友人」であった二人は「恋人同士」という関係に昇華した訳であるが、今巻では一体何を描いていくのか?
「・・・・・・恋人なんだなって思ったら、落ち着かない。付き合うのは初めてだし・・・・・・」
告白の翌日、何故かもどかしい関係の時だったように自然に寄り添えなくなる二人の姿がそこにあった。
付き合うとは一体、何をすればいいのか? という疑問。ゑ、もう既に実質恋人同士みたいなものだったよね?というツッコミを入れたい読者様もおられるだろう。実際私もそうである。しかしこれが、二人を意識させる悩みなのだ。
けれど、何も考えなくていい。ただ、自分達らしく。それだけで良い。そんな結論を出し、これまで通りの距離感に戻る二人。
だが、確かに二人の関係は変わったのだ。そしてそれを隠す気が無いのなら、二人の関係はあっという間に周囲に広まるものである。
真昼の傍に相応しい人となる為に。 顔を上げ真っ直ぐに前を見る事を決めた周。その変化が周に対する印象の変化を齎し、更に天使であった真昼が周と付き合いだしたというニュースは彼女に対する周囲の見方を変えていくきっかけとなる。
「・・・・・・勘弁してくれ」
そんな中、周囲に対して真昼が真っ直ぐに惚気たり、学校でも堂々といちゃいちゃしたり。プールで恋人同士としてデートしたり。「恋人同士」となった事で何が変わったのか? その答えはもう簡単であろう。前巻で極まったと思っていた甘さのハードルを、飛び越えるどころか上をロケットで飛び越えていくかのような「恋人同士」だからこその新たな要素が加わった甘さが、確かな変化なのである。
そして、周が真昼に色々な大切なものをくれたように。真昼もまた、周へと確かに温もりを、大切なものを渡していく。
「私にとって、周くんは誰よりも価値のある人って周くんに分かってもらえればそれでいいですから」
周と共に帰省した彼の地元、散歩中に出会った周の因縁の相手。彼を叱るでも非難するでもなく、ただ平淡に真昼は扱い、彼が悪くいう周を彼の目の前でこれでもかと肯定する。
「もうお前とはつるむ事はないし話す事もないから、それだけは言っておきたくて」
その言葉は、周の背を柔らかく押す風となり。大切な人に支えられ、彼は自然と過去との決別を果たす。何の感慨もなくいっそ自然に、だがそれでいいと言うかのように。
「・・・・・・今、幸せ?」
「はい」
「・・・・・・俺も」
「ふふ、お揃いですね」
自然と一歩、恋人として進み、何でもない事かのように愛の睦言を交わす。前巻で一つの完結かと思った読者の皆様、それは甘いと言わせていただく。寧ろこの作品はこれからが本番。限界かと思われた甘さが更に一歩突き抜け、天元突破の段階に踏み込んでいくのが今巻なのである。
さぁ、画面の前の読者の皆様も刮目してみてほしい。
この作品は、このラブコメは。甘さも面白さも、ここからが限界を超えた極限に至る本番なのである。
お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件5 (GA文庫) | 佐伯さん, はねこと |本 | 通販 | Amazon