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読書感想:ひきこまり吸血姫の悶々4 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、第一部完結という時に待っている王道展開と言うものは一体何であろうか? 画面の前の読者の皆様はどう思われるであろうか。 ラブコメ、ファンタジー、SF。様々なジャンルによって異なるものであるかもしれない。だがそこにバトルが伴うのであれば、王道の一つであるもの。それは今まで登場した者達が勢揃いする、大規模に過ぎるバトルである筈だ。
そんなバトルをするのであれば、舞台だって大規模でなくてはならない。ではこの作品で舞台となるのは何処か。それは帝都。今までコマリ達の母国でありながらも決して戦場にはならなかった街である。
相も変わらず引きこもれなくて、それどころかヴィルに加え妹のロロッコにまで振り回され。そんな日々の中、帝都ムルナイトに激震が走る。
それは、最近帝都で勢力を伸ばしつつある宗教のボス。神聖国の首魁である教皇、ユリウス6世の来訪。普段は総本山に引きこもっているはずの教皇の来訪である。
「あなたは神を信じますか?」
唐突にそう問いかけてきた少女が教皇であると気付かず、失礼な態度を取ってしまうコマリ。ところが応待すべき筈の皇帝は、何故か行方不明。
やむをえず応待するも、ドタバタで喧嘩を売る形となってしまい。問題を片付けるカタとして、ヴィルはユリウスに仕える事になり去っていってしまう。
奪われたヴィル。腑抜けたコマリ。だが、それで良いのか? 隣にいた彼女を取り戻さなくてよいのか?
「―――さあ行くぞ親愛なる兵士たちよ! 戦いの始まりだ!!」
受動的ではなく、能動的に。頼れる仲間達を自らの意思で率い、神聖国へと戦争を挑むコマリ。だが、それこそは敵の作戦通り。「逆さ月」の思惑にまんまと嵌められてしまったのである。
コマリを帝都から引き離し、その隙に帝都に潜入させた信者たちを蜂起させ、帝国を崩壊させる。その絵図を描いたのは、教皇ユリウス6世、否、スピカ。彼女こそは「逆さ月」の首魁。
傷つけられ幾度も追い込まれていくコマリ。だが、彼女は一人ではない。幾度も繰り返してきた巻き込まれた戦い。その中で繋いできた、仲間達との絆がある。
彼女の先導のままに立ち上がるサクナ、そしてかつての敵達。ネリアやカルラといった、駆けつけてくれた仲間達。
「ヴィル。いっしょにいこう」
そして、その隣に侍るのは変態だけど頼れるメイド。自らの腹心であるヴィル。頼れる仲間はここにいる。進化した力はこの胸に。母から託された願いも力に。なれば、負ける道理はあるのか? 否、そんな訳はない。英雄とその仲間達の前に、悪は等しく滅びるのが道理なのだから。
正にオールスター大集合、激突に次ぐ激突、激しくも熱い死闘。第一部の締めくくりに相応しい戦いがこれでもかと繰り広げられる今巻。
シリーズ読者の皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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