読書感想:エイス大陸クロニクル ~死に戻りから始める初心者無双~

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 さて、死に戻りと言えばリゼロであろう。が、元来の「死に戻り」と言えば何であろうか。死に戻り、それは死んだらセーブした地点まで戻る事。元来RPGゲーム等でよくある展開である。

 

そしてゲームは、普通に考えれば最初は「はじまりの街」的な場所から始まるものであり、一歩ずつレベルアップしていくものである。

 

 では何故こんな話をしたのであろうか。それはこの作品が「はじまりの街」から始まる、訳ではないからである。

 

幼い頃から仮想現実が存在していた、少しだけ近未来の日本。

 

その片隅の何処かに住まう少女、杏子(表紙右側)は幼い頃から仮想現実の世界で遊び回っていた子供である。煩わしい人間世界、そんな世界に囚われる事無く閉じた世界でひたすら格闘に耽る。そういう生活を繰り返してきてしまったが故に、現実世界の生活で支障をきたすまでになってしまった子供である。

 

平たく言えばぼっち、コミュ障。それを見かねた母親によりオンラインゲーム以外を禁止され、CMを見てやりたいと引き込まれたVRMMORPG、「エイス大陸クロニクル」をプレイしたいとお願いし、正式サービス初期勢の一人、ハズレ職業の魔剣士、アンズ(表紙左)としてデビューする。

 

だが、予期せぬトラブルが開始早々彼女を襲う。予期せぬバグにより、高レベルモンスターひしめくダンジョンが初期地点になってしまい、リスポーン地点を登録してしまったせいで脱出不可能になってしまったのである。

 

が、しかし。当然ながらアンズはそれを知らぬ。これがチュートリアルなんだと誤解したまま、必死にダンジョンで生き抜いていく。

 

 すると一体、どうなってしまうのか。その答えは明白であろう。一人だけ高レベルダンジョンで生き抜いている、つまりは強くなれる。それこそ攻略組のトップクラスを軽く生き抜いていく程に。

 

 

何とかかなった脱出、順番があべこべだけど初めてきた「はじまりの街」。そこで初めて出会う、自分以外のプレーヤー。目つきの悪いプレーヤー、オガミとの距離が掴めずに怯えたり、お姉さん系のプレーヤー、黒羽に可愛がられ色々教えてもらったり。

 

初めてプレイするオンラインゲーム、それは正に未知の経験。時に呆れられたり、時に驚かれたり。そんな中、ふと気づくと自分の心が変わっている。今までは一人で良かった。なのに今、誰かを求める自分がいる。

 

「・・・・・・例のダンジョンを出て、まだゲーム内で一日。さぁ、私の攻略はこれからだっ!」

 

 そして、自分が一歩踏み出したからこそ初めて出来た友達がいる。だからここが本当の始まり。最強だけど最強じゃない、そんな彼女の冒険はここから始まる。

 

勘違いものが好きな読者様、ちょっと曲者な主人公が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

エイス大陸クロニクル ~死に戻りから始める初心者無双~ (ファミ通文庫) | 津野瀬 文, 七原冬雪 |本 | 通販 | Amazon