読書感想:世界征服系妹2

f:id:yuukimasiro:20210402234814j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:世界征服系妹 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた画面の前の読者の皆様は既にご存じであると思われるが、この作品の方向性と空気感はゆるい方向である。世界を征服できる力を持っているけれど、義兄に勝てない義妹の檸檬が、何でもない日常を過ごしていくお話である。では今巻では一体どんな話が繰り広げられるのか。安心してほしい、今巻でも前巻とは変わらないので。

 

「ほんの三十分前のことだろ。時効も成立せず、今月はおやつと小遣いなしな。白木のおっさんにも話して、謝礼も渡さないようにしておくから」

 

相も変わらず、檸檬が簡単にドラゴンを召喚して騒動を巻き起こし。そんな彼女に太一が正座させてお説教からのお仕置きを課し。そんな変わりのない日々が今日も続く中、異世界から騎士のアインと魔法使いのソフィーの姉妹が、檸檬を連れ戻すべく世界を越えてやってくる。

 

「え、ヤだけど」

 

だがしかし、無論それを受ける檸檬ではなく。あっさりと檸檬に拒絶され、宙ぶらりんな状況に陥ってしまう姉妹。

 

檸檬はこっちで育った俺の家族だが、そっちの世界には他の親族や関わりのある人達がいるんだしな。喧嘩別れしたくないし、それなりにいい付き合い方が出来たらなと思ってるんだよ」

 

そんな二人へ太一は救いの手を差し伸べ、帰る手段が取れるようになるまで家にいてよいと許可を出す。

 

 ではこの先に待っている展開は何か。それはもう、画面の前の読者の皆様も何となくお分かりなのではないだろうか。アインとソフィーの異世界生活、異世界文化に触れた彼女達の生活が面白く描かれるのである。

 

「・・・・・・・・・いつの間にやら、こんなことに・・・・・・」

 

いつの間にやらソフィがゲームに、それこそ廃人レベルで熱中してしまったり。アインが日本の食文化に嵌って大食いの一面を開花させたり。

 

新しい仲間を加え何でもない日々を過ごしながら、最後は帰還をかけてぶつかり合って仲直り。穏やかに、緩やかに。前巻と変わらぬ優しさと温かさと穏やかさ。そんな面白さは今巻でも変わらない、そして更に深まるのである。

 

「だからね、いいの。魔法が使えても使えなくてもあたしはあたしだし、血が繋がっていてもなくてもお兄ちゃんはお兄ちゃんだし。焦ることなく、じっくりのんびり―――向こうの世界も手中に収めるよ!」

 

照れ隠しなのか、マジなのか。それは両方、だって檸檬だから。世界最強の義妹だから。

 

前巻を楽しまれた読者様、どこぞののんのんびよりのような作品が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。