読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で始まった、周と真昼のまだ名もなき関係。周にとって真昼とは、放っておけない大切な相手。真昼にとって周は、今まで見てきた男とは違う好ましい相手。甘酸っぱいもどかしさではなく、一足飛びに関係が進む訳でもなく。また一つ、もう一つと二人の時間を積み重ねていく二人の恋路。その恋路が、確かに恋路へと変わるのが今巻である。ここから確かに始まるのである、まだ名もなき関係が変わる音が優しく響く時、本当に全ては始まるのだ。

 

「その・・・・・・周くんも、かっこいい、ですよ?」

 

年も明けて、訪ねてきた周の両親も交えて過ごす初めてのお正月。晴れ着に着替えさせられたお互いの姿をみて意識してしまったり。

 

「・・・・・・周くんが優しい人な事くらい、知ってます」

 

体調を崩してしまったある日、いつもとは違って周に世話されて思わず甘えてしまったり。

 

「ん、似合ってる」

 

「・・・・・・ありがとうございます」

 

ちょっとした波乱のバレンタインデーを越えてホワイトデー。周のお返しに思わずふわりと笑ったり。

 

何気ない日々の中、積み重なっていくのは真昼にとっての「初めて」。彼とその周りの賑やかで優しい人達に触れ見守られるうちに、真昼の心を覆っていた氷は解けていき、隠されていた彼女の心の傷、本当に求めていたものを抱えたか弱き少女の心は明らかとなる。

 

「・・・・・・困るなら、産まなければよかったのにね」

 

母親との確執を周に目撃され彼に自身の家庭環境を明かし。思わず漏れた呟き、そこに込められたのは切なる痛み。今までずっと言えずにいた、笑顔の裏に隠していた心の痛み。

 

「母さん達は真昼の事気に入ってるからさ、ずっと居たっていいって言ってくれると思うしさ・・・・・・むしろ真昼が幸せになるまで放してくれないと思う。俺達にはお前が親とどうするかなんて決められないけどさ、お前が踏ん切りつくまでいくらでも甘えさせるというか、支えるから」

 

 そんな痛みも、素の真昼も全部。周はまるっと包み込み伝える。ずっと側にいる、今はもう俺達がいると。

 

その言葉はきっと、真昼がずっと欲しかったもの。その温もりはきっと、真昼が今まで欲しくても手に入れられなかったもの。

 

全てを明かせる、曝け出せる。どんな自分でも受け止めてくれる。その瞬間、真昼の心の中に柔らかく音が鳴る。それは、確かに恋をした音色。

 

付き合ってはいないけれど、隣にいると温かくて。だからずっと隣にいたくて。ここから始まる本当の純愛。果たして恋と言う色は、どんな色彩を二人の日々に加えるのか。

 

前巻を楽しまれた読者様、やはり純愛が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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