読書感想:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件

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 さて、画面の前の読者の皆様。この感想記事の見出しと画像を見てこう思われた人もおられるのではないだろうか。基本的に新作を追い続けるこのブログが、何故この作品の感想を今書くのか、と。

 

 その件について簡単にではあるが、釈明させていただきたい。実は、このブログを書くのに使っているパソコンの周りには、このブログで感想を書きたい過去作品の山がいくつか出来ている。その山を形成しているシリーズの一つが、このシリーズであり、今ようやく時間が空いたので、ここからこのブログで記事を書いていく次第、という訳である。

 

 さて、画面の前の読者の皆様の中には既にもうこの作品を読んでいる方もおられるだろう。そんな方には今更説明は不要かもしれない。でも読んだ事が無いと言う読者様もおられるかもしれない、という事でこの作品の内容をごく簡単に説明するのなら、もどっかしくてじれったい、けれど甘々な純愛ラブコメ、この一言で説明できるのである。

 

昨今の幼馴染ものの流行に乗っておられる読者様であれば、あまり見かけぬかもしれない、同級生ヒロイン。が、しかし。この作品の場合においてはそれでこそ正解であり、寧ろそうでなければ物語が始まらなかった可能性すらもあるのだ。

 

何処か陰気な自堕落へたれ紳士、主人公の周。彼の住まいであるマンションの隣の部屋に住む、「天使様」とも評される学校で一番の美少女、真昼(表紙)。

 

普通であれば何のかかわりあいもない筈だったある日、ずぶ濡れになっていた真昼に傘を貸して。

 

「・・・・・・さすがに放っておけません」

 

「借りは、返します」

 

彼に取っては何気ない気紛れであったのかもしれない。けれど真昼は借りを返すという名目の元、風邪を引いた周の看病に励み。彼の部屋の散らかりようを見て、放っておけないと掃除まで初めて。

 

 徐々に彼女が生活の中に入り込んでくる。同じ時間を同じ部屋で過ごす事が増えてくる。けれど、それが苦痛では無くて。どこかくすぐったいけれど、心地よくて。

 

 

「こちらこそ、ありがとうございます」

「俺なにもしてないけどな」

 

周の母親に関係を誤解され、親友カップルにも関係がバレてしまい。邪推されたり見守られたりしながら二人の時間を過ごす中、少しずつ二人は向かい合う。お互いがお互いに放っておけない存在へとなっていく。

 

すぐに付き合う訳じゃない、何気ない日常を丁寧に積み重ね、季節の移り変わりを緻密に描く。そんな日々の中に、まるで染み込ませるかのように甘さを込めているからこそ、まるで舌の上で溶けるかのように、とても良き甘さが味わえるのである。

 

このラブコメ、まさに純愛、故に外れなし。

 

純愛が好きな読者の皆様、丁寧な日々を見てみたい読者の皆様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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