読書感想:ガンナー・ガールズ・イグニッション Case1.フェイタル・インシデント

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さて、突然ではあるがこの作品を読むときにかけるべきBGMは何が良いだろうか。ロックンロールも良いかもしれないし、パンクも良いかもしれない。だがきっと、トランペットの音が鳴り響くような激しい曲こそが、この作品には相応しいであろう。

 

かつてとある事件が起きた近未来の日本。かの国には、最先端の実験都市であり環境建築都市と呼ばれる街、チバ・シティが存在する。

 

 最先端の実験都市。そう聞けば聞こえは良いだろう。だが光があれば必ず闇は存在する。チバ・シティにはダウンタウンと呼ばれる区画があった。かの区画は欲望と暴力、退廃とヤクが蠢くカオスな世界。掟を守れなければ死、あるのみの魔境だったのである。

 

かの街で運び屋を営む少女、天(表紙中央)。一匹狼で気楽なままに仕事をする彼女はある日、とある事件に巻き込まれた事を切っ掛けに隠していたESP能力、サイコキネシスを明かされ、違法な機械義肢犯罪を追う諜報機関SIAへと入局し、別の戦いへと巻き込まれていく。

 

彼女が出会った二人のお仲間であり「同類」。心を読むスキャナーである同性好きの女たらしな上司、七世(表紙右)。七世に懐き好意を抱く発火能力持ちの岬(表紙左)。三人そろって「チーム・イグニス」。ESP能力持ちが三人そろった、言わば最強チーム。

 

三人で追いかけるは機関義肢の犯罪の影に蠢く謎の黒幕、「フェイスレス」。

 

だがしかし、かの犯罪の裏には更に大規模な犯罪が蠢き、更に大きな悪の思惑が蠢いていた。そして、その黒幕は天達のすぐ側にいた。すぐ側にいて、着々と自分達の計画を遂行できる時を狙っていたのである。

 

「誰も信じるな。この、私でさえも」

 

誰を信じる事も出来ぬ、誰が裏切り者かも分からない。けれど裏切り者はそこにいる。彼女達の近くで、虎視眈々と待っている。

 

虚実と死線の先、更なる黒幕の思惑が炸裂し敵と味方は入れ替わり。本当の悪を討つ為の戦いが幕を開ける。

 

何のために天は戦うのか。巻き込まれただけの彼女は何の為に戦うのか。

 

「コイツは・・・・・・アタシが掴んだ、アタシだけの力なんだよ!」

 

生き延びると言う信条を叶える為? 死にたくないから? 否、使命の為に。そして好きなものを、守るために。

 

陰謀と罠が蠢き、銃声がこれでもかと木霊し、ESP能力が真正面からぶつかり合う。

 

硝煙と銃声が木霊する、パンクでロックな世界観。そんな世界で咲く花は一つだけではなく。故にこそ、熱い。正に火傷しそうな程に熱く、独特のダーティな面白さがあるのである。

 

ダーティな物語が好きな読者様、女子同士のケンカップルのような友情が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。