読書感想:ただの屍のようだと言われて幾星霜、気づいたら最強のアンデッドになってた 2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:ただの屍のようだと言われて幾星霜、気づいたら最強のアンデッドになってた - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

もう死にたい、楽になりたい。ゆっくりと眠りたい。これこそこの作品の主人公であるジオンの望みである、それはこの作品の前巻を読まれた画面の前の読者の皆様であればご存じであろう。が、しかし。彼は死ねない。何故なら彼はノーライフキングだから。

 

そう、只のアンデッドであれば楽だったのに。ノーライフキング、それはファンタジーにおいてはたいていの場合、アンデッド系の魔物の最強の魔物である。故にジオンは死ねない。死にたいと思っても死ねない。

 

それどころか、ジオンの頭を悩ます頭痛の種がまた一つ。前巻でジオンが倒してしまい、眷族へと変えた雷轟竜(表紙左)である。

 

眷族へと変えてしまった事で、主と慕われ。それどころか同等かそれ以上のドラゴンである闇黒竜を倒し、新たな眷族として連れてきてしまい。

 

拒めれば簡単であろう。しかし拒めない。それはジオンが優しいからではなく、人見知りでコミュ障だから。内心では雄弁なれど、それをうまく表現できぬ。故にジオンは逃げる。厄介事を背負い込みたくないから。

 

だが、ジオンを追跡する者は彼女達だけではない。前巻で倒した死霊術士のせいにより、今や世界の全てが彼の敵と言っても過言ではない。更には彼の人見知りな部分がその解釈にブーストをかけてしまい、危険に過ぎる敵として、討伐対象として、どんどんと聖騎士達が彼を狙い襲い来るのである。

 

だが、只の聖騎士では彼を討伐するにはまったく足りず。リミュルの姉であるセレスティア。彼女が信徒たちの祈りを力へと変え聖剣に込め、全力で叩き込めど、身の一片すら残さず消滅させれど。ジオンは彼の意思に反し、再生してしまう。

 

そんな死ねない彼は、雷轟竜達を始めとする追手たちから必死に逃げる中、様々な街を結果的に救ったり、リミュルと本格的に関わる事になったり。少しずつ、彼は世界に本当の姿を知られていく。けれどそれ以上に圧倒的な速度で誤解と勘違いを積み重ねていってしまう。

 

「何で俺が笑顔になると皆こんな反応になるんだろう・・・・・・」

 

笑顔からして既に怖く、恐怖を与え。けれど内心はコミュ障で人見知りの極み。なのに世界に着々と傷跡を刻み、誤解とすれ違いを積み重ね。果たしてこんな体たらくで本当に死ぬ事は出来るのだろうか。

 

前巻で描かれた、勘違いとすれ違いのドタバタの面白さが更に深まる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様、やはり勘違いものが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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