読書感想:竜歌の巫女と二度目の誓い2 薬を探す子供

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前巻感想はこちら↓

読書感想:竜歌の巫女と二度目の誓い - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で改めてルゼとギルバートは新たな絆を結び直したのは、前巻を読まれた画面の前の読者の皆様であればもうご存じであろう。ではここから始まるのは、平穏な落ち着ける日々なのであろうか。無論そんな事が無いのは画面の前の読者の皆様もお分かりであろう。絆を結び直したと言っても、ルゼとギルバートはまだお互いを理解し合っておらず、根本的な部分において食い違っている。そして、先代の「竜歌の巫女」の死は、時を経ても尚、爪痕を残している。その爪痕は、知らないだけですぐ近くにも存在しているのである。

 

 再び結ばれた誓いからはや半年。もう一度、と絆を結び直したルゼとギルバートに訪れる穏やかで優しい時間。

 

だがしかし、穏やかな時間は長くは続かなかった。ギルバートに雇われている専属医師、ドミニク。その手伝いをする謎の女性、ラティナ(表紙左)。

 

二人の来訪、そしてギルバートは嫌々ながらもルゼを交えて話す。一年前に結ばれ、二か月前に無事折り合いがついた講和条約。その中で返還する事になっていた竜の遺骸が盗まれたと。

 

盗賊たちと連携していた若き竜。その謎を追い、疑惑の地へとルゼはオズワルドに連れられ、ギルバートに同道する形で向かう。

 

彼の地で待っていた新たな出会い、その名はガーウィン。ドミニクの兄であり、かつて竜騎士となる未来を渇望されながらも、実家から勘当された人間である。

 

その理由とは何か。それはルゼの前世、先代の「竜歌の巫女」に竜の敵にしかなれぬと告げられたから。そして、彼は彼なりに先代の「竜歌の巫女」の死に心に傷を負い、その影響のままに竜の敵となる事を決めたから。

 

これもまた、ルゼの前世での死が齎した影響である。そしてその影響は、未だギルバートとルゼの中にも。一度の別離と危機を経て、二人はお互いを大切に思うあまりにすれ違っていた。

 

そして、すれ違っていたのは彼等だけではない。もう一組、「彼」と「彼女」も。十二年前から始まった哀しい誓いを交わした二人もまた。

 

だけど、それでも。生きている限りは「向き合える」。手を繋げるからこそ、お互いが背負った荷物を分け合う事が出来る。

 

「それでも、僕はお前といるよ」

 

「これから先、何があったとしても・・・・・・僕はお前と一緒にいたい。お前がいないと、寂しいよ」

 

噂話を、哀しき御伽噺としないために。向き合い支え合って、もう一度絆を結び。

 

「私たちは、きっと・・・・・・ただただ不器用だったのでしょうね」

 

誓いを交わしても尚、背を向け合っていた心を向かい合わせて、心を重ねて。

 

新たなる誓いと、「向き合う」事の大切さと温かさを描く今巻。

 

前巻の温かさに触れた読者様は是非に。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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