さて、この感想を開かれたであろう画面の前の読者の皆様は驚かれたかもしれない。私がこういう雑誌の感想を上げる事なんて初めてだと。実際、私も今この雑誌の感想を上げる事になった事を自分でも驚いている。数年前までは購入していたけれど、いつの間にか買わなくなってしまったこの雑誌。今更買う意味は何なのか。
その理由は聡い読者様であれば、もうお分かりであろう。
その理由がこちら。今号より連載が始まった、あまさきみりと先生の新作である。このブログでは記事にしていない者の、実は私は読書メーターの方であまさきみりと先生の作品を読んだ経緯があるので、この作品は見逃せず。というわけで、これから先、一か月に一度この作品の感想を投稿していく予定であるので、どうかご承知いただきたい。
ではこの作品は一体、どんな作品なのであろうか? 今月号では今まさに連載が始まったばかりという事もあり、人員配置と舞台説明、そして来月号からの本格的な始動に向けての伏線の配置となっているため、あまり多くは語れない。故に、私はこれだけは言いたい、これだけは画面の前の読者の皆様に問いかけてみたい。
言いたい事、それはこの作品は間違いなくあまさきみりと先生の新境地となるであろうこと。そして問いかけない事、それはもし、止まった筈の片思いがまた動き出すとしたら、貴方はどうされるだろうか。
幸運のイルカと出会えたら、【止まっている片思い】が動き出すという、ある街に伝わる他愛もない噂話。
だが、その幸運は果たして本当に幸運なのか。それとも呪いなのか。
けれど、今まさに動き出したことは確かである。とある二人の【止まっている片思い】が動き出したのは。
高校生の少年、夏海は先輩である大学生、春瑠に片思いをしている。そして春瑠は、夏海の兄である晴太郎に片思いをしている。
だが、その片思いは決して叶わない、何故なら―――、
叶わぬ恋と報われぬ想い。けれどそれでも、彼女の為になるのなら。
「終わった初恋を忘れさせてよ、後輩くん」
その呟きに、願いに込められた思いは如何程か。
だが、現状維持は許されぬ。再び動き出すか、永遠に失うかの二者択一。
不可思議な一夏はすぐ側に。そこにあるのは不穏の嵐。
あまさきみりと先生の十八番の痛切なる切なさを前面に押し出しながらも、甘酸っぱくてもどかしいラブコメも共に並び立つ。
どうか画面の前の読者の皆様も刮目してみてほしい。きっと、何かが見える筈である。
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