前巻感想はこちら↓
読書感想:ねえ、もっかい寝よ? - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、「添い寝フレンド」なんていう、絶対にここ以外では見た事無い関係であろう主人公の忍とヒロインの静乃。見た事無いであろう、画面の前の読者の皆様も。しかし年頃の男女が添い寝、それだけで果たして終わるだろうか、そう邪推してしまうのではないだろうか、画面の前の読者の皆様も。無論そのお気持ちはよく分かる。私もその言葉だけ聞いたら、絶対深い関係の恋人同士であると思ってしまうかもしれない。
しかし、この二人は未だ付き合っていない。単に二人で一緒に寝ていると、よく寝れるから一緒に寝ている、そんな微妙な関係の幼馴染同士なのである。
そんな二人は未だに記憶違いの問題は解決せぬまま、けれどすれ違いとぶつかり合いを経て少しだけ近づいた距離で新たな添い寝に励む。
唐突な雨で静乃の服が全て濡れてしまった時は、忍のワイシャツを貸して彼シャツ状態になってしまったり。
一緒にいる事を前提としない、リモート添い寝を試してみたらやっぱり顔を合わせたほうが良いと分かってしまったり。
だが、そんな微妙な関係の二人に再び関係をかき乱す危機が二つも訪れる。一つは、クラスの生真面目堅物委員長、頼子による二人の関係への邪推。そして宿泊研修という名の校外学習である。
宿泊研修、もうお分かりであろう。強制的に引き離される二人、無論添い寝なんて出来る訳もなく。けれど添い寝しなければ、眠れない。
静乃が男装してこっそり忍び込んだり、テントへの宿泊でこっそり忍のテントへ潜り込んだり。けれどやはりこの状況で隠し通す事は出来ぬのか、やはり頼子に判明してしまう、二人の関係。
「だって―――俺は、静乃と約束したんだ! これからは、ちゃんと一緒にいるって。せっかくもう一度出会えたんだ。今回は、俺の意思で、静乃のそばにいようって!」
そんな状況を覆すのは、忍の隠せない偽らざる本心。邪念だって当然ある、それでも彼女を大切にしたい。だからこそ側にいたいと言う心の叫び。
そう、大切な事は恐れるだけではなくぶつかる事。真っ直ぐ隠さず、己の心をきちんとぶつける事である。
未だ全ては解決したわけではないけれど、それでも少しずつ二人の関係は深まっていく。すれ違いを超えたからこそ、真っ直ぐお互いを見ているからこそ少しずつ進んでいける。
そんなもどかしい甘さが更に深まり、濃さを増していく今巻。
前巻を楽しまれた読者様、もどかしいラブコメがやはり好きという読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
ねえ、もっかい寝よ?2 (電撃文庫) | 田中 環状線, けんたうろす |本 | 通販 | Amazon