読書感想:ドラキュラやきん!2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:ドラキュラやきん! - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、突然ではあるがこの二巻の表紙を見てみてほしい。謎の新キャラ、黒髪のお姉さんがいるが彼女については後々で解説するとして、その服装はどう見てもクリスマス風の衣装である事はお分かりであろう。そう、クリスマスである。普通の人間にとっては悲喜こもごも溢れるクリスマス。だがしかし、吸血鬼である由良にとっては街に十字架が溢れると言うだけで憂鬱な季節である。

 

 そして由良にとっての憂鬱はこれだけにとどまらなかった。前巻の最後、由良の隣に越してきた男性嫌いのぽんこつシスター、アイリスが由良を聖務のパートナーに指名し、なすすべもなく彼は聖務のパートナーとして登録されてしまう。

 

更に事態はそれだけでは終わらず、由良にとっての懸念がもう一つ。彼に惹かれたといってコンビニに新たなバイトの仲間が増える。彼女の名前は詩澪(シーリン。表紙右下)。中国からやってきた美人留学生である。

 

クリスマスという一番の繁忙期の中、詩澪の新人教育に励み。由良を心配してやってきた未晴とアイリスに嫉妬され。挙句の果てにはコンビニ強盗までやってきて色々な意味で大惨事になったり。

 

「将来の夢、か」

 

そんな中、詩澪の言葉で愛花を首尾よく倒せた場合、その先にどんな夢を抱くかをふと考えてみたり。

 

「本当勘弁してくれ、誤解だって。灯里ちゃんの年齢で女癖とか言うなよ」

 

時にやきもちを焼くアイリスに振り回され、灯里に危うく誤解されたりと女の子との付き合い方が致命的に初心で下手な部分を晒し、あたふたしてしまったり。

 

 けれど、時に年上らしく大人の立場からどっしりと構えて大人らしく動いたり、時に若者のように熱血的に駆けまわったり。

 

「思ってねぇよバカ野郎」

 

そんな熱さが、半端者でしかない中国のファントムである詩澪に勇気を与え。彼女の協力も得て、アイリスを攫った愛花へと肉薄し、高速道路を駆け抜ける車上で再びの決戦へと挑んでいく。

 

しかし今回もまた痛み分け。前巻よりも更に、今が好機とばかりに挑んだけれど、それでも未だに決着はつかず。

 

「楽しみにしてるとか言ってたろ? どうせうちの冷蔵庫の中身は半分お前が食ってるんだし、お前が食う想定で買ったんだが」

 

けれど、どんどんと気安くなっていくアイリスとの関係をはじめ、周囲の人間との絆と関係は確かに深まって、少しずつだけれど変わっていく。

 

そんな絆があるのなら、きっといつか、勝利できるはず。

 

一巻とセットとして成り立つ今巻は、少しずつ面白さが深まると共に己の生き方を模索する、深みのある面白さが増していく巻である。

 

 

前巻を楽しまれた読者様、和ヶ原聡司先生のファンという読者の皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

 

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